四輪花(銀魂→薄桜鬼トリップ夢)

□Unknown person
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あの後、九人は屯所に戻った。
屯所残留組は、無事を喜んでいたが、途中から事情を察してか、黙っていた。

それから数日。
今だに傷は癒えない。


「その後、幕府の兵が焼け落ちた屋敷を探索していたことから、放火も幕府軍によるものかと…。」


「そうか、ご苦労だったな。」


山崎の報告を聞いて、土方も蓮も何も言えなかった。


『あいつらには、言えないな。』


「…………ああ。」


『私達も、いつか裏切られるのかな?』


「蓮。」


『大丈夫、もう慣れた。』


あの時は、皆ガキだったからな…。
と漏らす蓮は、どう見ても顔色が良いようには見えない。


「寝ろ。」


『私はだい……。』


「いいから、寝ろ。
あれから、寝てないだろ。」


『それは、歳三もじゃん。』


蓮は立ち上がる。


「どこに行く。」


『ちょっと、行ってくる。』


蓮は部屋を出ていった。






『もう良いのか?』


縁側に座っていた蘭の所に、風間が歩いてくる。


「ああ……。」


『そっか。』


風間は蘭を抱き締める。


『えっ…。』


「俺は、やはり人間が嫌いだ。
また、同胞が消された…。」


『千景……。』


「それ以上に、大切な女にそんな顔をさせる人間が、この上なく憎い。」


風間は蘭を抱き締める腕に力を入れる。


「俺の前でくらい、泣いても構わない。」


『…千景っ。
……うっ……うっああ!!』


「貴様を守ると……。
身体だけじゃなく、心も守ると誓ったのに。
……俺は。」


『俺、いっつもダメなんだよ。
大事なもんなんか、何一つ守れないんだ。
どうやっても、誰かが犠牲になっちまって!!

どうしたらいいんだろ……。』


風間は蘭の目尻から零れる涙を掬う。


「俺は、人間より永く生きている。
これからも、永く生きていく。」


『………。』


「だからこそ、分かるものもいくつかある。
奪ってきた命も多くある。」


『うん。』


「斬ってきた者の中には、家族も仲間もたくさんの抱えているものもいる。
それを投げうってでも、戦うのには意味がある。

斬るからには、それを自分が背負わなければならん。」


蘭は自分の手を見つめる。


『俺はあいつらの分、背負えるのかな?
あんな重くて、大切なもんを、俺が背負ってもいいのかな?』


「何を言っている。」


蘭の手に、風間の手が重ねられる。


「誰が、貴様一人に背負わせると言った。
俺もあいつらも一緒に背負う。
今までも、これからも。」


『ふっ……。』


蘭が笑みを浮かべる。


『何か、風間らしくねえよ。』


「貴様もだ。
泣いてるのは似合わん。」


『それもそうか。』


蘭が立ち上がる。


『やっぱ、沈んでんのは似合わねえってな。
俺が沈んでたら、皆も沈んじまうって!!』


「そうだな…。」


『いつも、助けられてばっかりだよな。』


「それが俺の役目だからな。」


『じゃあ、お返しに稽古を……。』


「時には女らしく、繕い物の一つや二つ。」


『それこそ似合わねーって!』


二人に自然な笑みが浮かんだ。
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