四輪花(銀魂→薄桜鬼トリップ夢)

□Prohibition law
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風間達が去った後、幹部は解散となった。

攫われたとはいえ、千鶴の命が奪われることはない。
なので、この件については、明日に細かい打ち合わせを行うことにした。


「しかし…。」


「まあまあ、一君。
焦ったって、しょうがないじゃない。
土方さんが決めたことなんだからさ。」


「総司、お前…。」


「その鬼とかいうの、叩きのめしたいのは、君だけじゃないんだから。」


そう言う沖田も、殺気が隠せていない。

数名が渋っていたが、副長の命は覆せず、皆思い思いに広間を去って行った。






それから、数刻後。
向日葵は勝手場にいた。


『……誰も、食べてくれなかった。』


こんな事態だからこそと思い、向日葵は握り飯と吸い物を用意したのだが。
どこに行っても、食べれる気分じゃないと、押し返されてしまった。


『千鶴ちゃんだったら、どうしたんじゃろ…。』


考えても考えても、悪い方向にしか思えず、向日葵は溜め息をついた。
すると、その時。


「向日葵、こんな所にいたのか?」


『左之助さん……。』


「おっ。美味そうじゃねえか。
貰っていいか?」


『えっ?』


左之助は握り飯を一つ手に取る。


「やっぱり、美味いな。」


『本当ですか…?』


「ああ。」


自然と向日葵の頬が緩む。


「やっと笑ったな。」


『え?』


「ここのところ、全然笑ってなかっただろ。
しかめっ面より、笑った顔の方が、俺は好きだぜ。」


『左之助さん…。』


「だから、辛そうな顔するな。」


『はい。』


「お前は、足手まといなんかじゃねえよ。」


『はいっ。』


左之助は向日葵の頭に、ぽんと手をのせて言う。


「明日は早めに起きて、出かけてくる。
朝、部屋に俺がいなくても、心配しないでくれ。」


『……はい。』


「大丈夫だ。
ちょっと遠出するけど、ちゃんと帰ってくるから。」


『……?』


「だから、待っててくれ。」


向日葵は、いつもと違う左之助の雰囲気に、疑問を感じながらも頷く。


「じゃ、おやすみな。」


『はい。』


左之助が勝手場を出て行き、向日葵は片付けを始める。


『何だったんだろ…?』


向日葵がお椀を置いた、その時。
プツンという音と共に、向日葵の髪結いが切れる。


『嫌な予感がする…。』


向日葵は結い紐を拾うと、小さく呟いた。
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