四輪花(銀魂→薄桜鬼トリップ夢)

□Necessity to answer
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二人組の姿が消え、蓮達から緊張が消える。


「あっ、椿さんっ。」


千鶴は、蘭に地面に下ろされ、椿に駆け寄った。


『大丈夫か?』


『致命傷じゃないとは思う。
あのガキの方が言ってた。』


『おいおい…。
敵のこと、信じるのかよ。』


土方が屯所に撤退するよう、声をかけようとする。
しかし、その声を遮るように、上から白い影が降ってくる。


「貴様ら、さっさと帰れ。」


『あっ、ちー様。』


「蓮、ちー様とは何だ?」


『千景のあだ名だろ?
ちー様、いいかも。』


「蘭は、斬り殺されたいのか?」


呆れる風間に、土方は眉を寄せて訪ねる。


「おい、風間。
何しに来やがった。」


「ふっ。別に貴様らの邪魔をしに来たわけではない。
俺も、貴様らと目的が重なっただけ…。」


『まじかよ!
千景が一緒なら、百人力だぜっ。』


しかし、喜ぶ蘭とは裏腹に、風間は露骨に不機嫌な表情になる。


「誰が、新選組と行動を共にすると言った。」


『え?』


「俺はただ、忠告しに来ただけだ。」


『どういう意味だよ?』


風間は少し顔をしかめて、四人に言う。


「あの二人組…いや、二人だけではないが…。
あの異人共は、ただ者ではない。
きっと、俺や貴様らでも勝てるか分からん。
新選組がどうなろうが構わんが、今回に関しては退け。
蘭に何かあると、俺も気分が悪い。」


『蘭のこと、心配してくれんのは、嬉しいけどさ。
狙われてんのは、千鶴なんだよ。
素直に従うことは出来ないな。』


『そうだぜ。
俺だって、そんなに弱いわけじゃねえって!!
千鶴が狙われてんなら、尚更負けられない。』


「やはりか。」


風間が漏らした一言に、土方が反応する。


「風間、どういう意味だ。」


「そのままの意味だ。
狙いが千鶴ということは、薄々感じていた。」


『じゃあ、あいつらは何のために千鶴を…。』


「我らと同じか、それとも違うか。
まず、そこから明らかになっていない。」


『ってことは、千景も分かんないのか。』


「ふんっ。
風間も結局、知らねえんじゃねえか。」


「何を言っている。
貴様らより、俺のほうが先に気づいていた。」


「何だと、てめえ。」


土方と風間はガンを飛ばし合う。


『ストップ!ストップ!!』


『そうだって、お前ら。
千鶴も、ちょっとどころか、結構どん引きだから。』


風間は千鶴に視線を向ける。


「狙われてるのは、貴様だ。
俺達でも勝てるか分からん。
それだけは、肝に銘じておけ。」


「………。」


千鶴は黙ることしか出来ない。

その時、沈黙を破るように、凛と声が響く。


『……何も、心配しなくていいわ。』


声を発したのは、腹部を押さえた椿だった。


「椿さん…!?」


『椿、大丈夫!?』


『私は、蓮と違って、ぶっ刺されたくらいじゃ死なないわ。』


しかし、椿の額からは、噴き出るように汗が滴る。


『風間、勝手なことを言わないで。
千鶴は私達が命を懸けても守る。
武士に二言は無いでしょう?』


「貴様らごときに、何が出来るというのだ。」


『…少なくとも……あなたと違って、腰抜けじゃないわ。』


「人間風情が…。」


『その言葉、そっくり返すわ。
鬼如きが。』


椿は、一度息を吐くと、千鶴に向き直る。


『風間の言うことは、気にしなくていい。
誰も、あなたを邪魔なんて思ってないしね…。

だから、千鶴は自分の信じた道を歩みなさい。』


「はっ…はい。」


千鶴は勢い良く頭を下げる。


『よろ…し…。』


『おいっ、椿!!』


『椿!死ぬな!
屯所には、総司が待ってんだっ!!』


「椿さん、いやっ!!」


すると、蘭の頭に、包みが降ってくる。


『っ、何だ?』


「それを飲ませておけ。
そうすれば、その女が死ぬことはないだろう。」


『千景…。』


「死ねば、女も毒を吐くことはないだろうが。
逆に五月蝿いの二匹に、呪い殺されかねん。」


『一言多いぞ、一言。』


風間は、屋根の上に上がると、蘭に言う。


「絶対に、変な気は起こすな。
分かったな。」


風間の姿は、闇の中に消えていった。
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