四輪花(銀魂→薄桜鬼トリップ夢)

□Hardship person
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蓮が薬と、にらめっこをしていると、今度はノックなしで襖が開かれる。


「蓮ちゃん、生きてる?」


『まあ、ゴキブリ並の生命力ですから。』


『二人とも、重傷に追い討ちかけるって、どんな神経してんだ。』


「どんな神経って。」


『どS…?』


『聞いた私がバカでした。』


沖田は、蓮の手に握られている石田散薬を目にする。


「今回は、土方さん?それとも一君?」


『一だけど…。
ってか、めちゃくちゃ胡散臭いんだけど。』


「だって、それ多摩川の雑草だもん。」


『マジか!?』


沖田は懐から本を取り出す。


「蓮ちゃん、暇でしょ?
せっかくだから、面白いもの聞かてあげるよ。」


『何?面白いもんって。』


「じゃあ、いくよ。
しれば迷い〜、しなければ迷わぬ〜、恋の道〜!!」


『…何それ?』


『土方殿の句。』


『土方の句ぅ?』


「【豊玉発句集】。」


沖田から受け取り、中をペラペラめくる。


『すっげー。
私、俳句とかさっぱりだからなぁ。』


「あれ?意外な反応。」


『どこが。』


「もっと爆笑するかと思ったのに。」


『だって、何か隠れてこっそりってのが、土方らしいなってさ。』


すると、廊下からバタバタと走る音が聞こえる。


「総司ぃ!!」


「あ、土方さん。」


『お邪魔してます。』


「お前ら、例のブツは…。」


『ブツって…。
大丈夫だよ、バレっバレだから。』


「そう……ってまさか!」


土方の表情が引きつる。


「土方さん、お返ししますよ。」


『じゃあ、失礼します。』


ドSコンビは帰っていく。


「み…見たのか…?」


『ああ、ガッツリとな。
でも、あの鬼の副長様の口から、恋なんて言葉が出てくるとはな。』


土方は珍しく、顔を赤くする。


『ふふ…。
相手が誰か知らねーけどさ、頑張りなよ。
応援してる。』


「あ、ありがとな。」


そこに、聞き耳を立てる二人組が…。


「何で、あそこまでいって言えないんだ、土方さん。」


『何で、察してあげないの。蓮。』


二人は顔を見合わせる。


「何か、見ててイライラするよな。」


『土方さん。
蓮は鈍感だから、押し倒さないと、気づきませんよ!』


「向日葵…?」


『だって…!』


すると、勢い良く障子が開く。


「原田、向日葵。
聞こえてるぞ。」


『「ははははは…。」』


「お前ら、巡察は?」


「終わったとこですよ。」


『蓮にお土産を…と思って…。』


向日葵は蓮に団子と金平糖を渡す。


『そろそろ、糖分不足で倒れるんじゃないかと思って。』


『ありがと!!』


『じゃあ、邪魔者は退散しますね!』


左之助と向日葵は去っていく。


『土方!食べていい!?』


「好きにしろ。
治りが遅くなっても、知らねーぞ。」


『逆に、即効で治るよ!』


土方も一緒に団子を食べる。


「傷、大丈夫か?」


『全然、慣れっこだし。』


「でも、女の体に跡が残ったら…。」


『もともと、傷跡だらけだよ。私たち。
だから、今さら傷が一つや二つ増えたって、気にしない。

私は女である前に、仲間を守れる人間になりたい。
だから、皆の分を私が肩代わりするなら、お安い御用ってこと。』


蓮は顔を曇らす。


『でも、刀が折れちゃって、闘えないんだけどね。』


すると、土方が立ち上がり、部屋の隅の棚を漁る。


「これを、てめえにやる。」


土方の手には、小さめの太刀が握られていた。


「俺が以前使っていた太刀だ。
これを使え。」


『えっ!
でも、貰ってばっかりで…!』


「気にすんな。
ただし、これをやるには条件がある。」


『条件?』


「てめえは、周りの仲間を守ればいい。
でもな、てめえは俺に守らせろ。
いいな!」


『う…うん。』


土方は今までに見たことない程、穏やかな笑みで太刀を差し出す。


「治ったら、頼むぜ。」


『あ…ありがとう…。』


蓮は太刀を見て、微笑んだ。
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