四輪花(銀魂→薄桜鬼トリップ夢)

□Hardship person
1ページ/3ページ



蓮は風間と斬り合う。


「貴様は、なぜ剣を握っているのだ。」


『んなの、守るために決まってんだろ!!』


その時、千鶴の悲鳴が聞こえる。


『千づ…!』


一瞬の不意を突かれ、風間の刀が降ってくる。
蓮は刀を受けとめる。

しかし、刀は真っ二つに折れてしまう。


『えっ…?』


“土方に初めて貰った刀が折られた。”
そのことが、蓮の頭を埋め尽くしていく。


「フッ…やはり、人間は人間か。」


いつの間にか、背後に回っていた風間が小さく呟く。
蓮の記憶は、そこで飛んだ。






目を覚ました蓮が、最初に見たものは、隣で座りながら寝ている土方だった。


『あれ…土か…。
った、いたたたたた。』


直後、蓮の背中を激痛が襲う。


『うぅ〜!』


「っ大丈夫か!」


『っ、大丈夫かな?
ごめん、起こしちゃって。』


「何言ってやがる。
三日も寝込んでて、新八達が心配してたぜ。」


蓮は土方の目に隈が出来てることに気づく。


『土方。』


「なんだ?」


『ありがとう。』


土方は襖を開けて、部屋を去ろうとする。


「いいか。
てめえは、絶対に部屋を出るんじゃねーぞ。
傷口が開いたら、元も子もねぇしな。」


閉じられた襖を見て、蓮は息を吐く。


『ったく、暇だぁ。』


すると、障子が勢い良く開く。


『うぉっ!』


『よぉ!』


「蓮、元気か?」


入ってきてのは、蘭と平助、新八だった。


『元気なんだけどなぁ。
副長様々に【絶対安静】を言い渡されちゃってさ。』


「そら、なぁ。」


『でも、暇なんだなぁ。』


『だろうな。』


『ってなワケで、背中の傷が開かない程度に暴れてってくれ。』


「そういう事なら、お安い御用だぜ!」


新八が心配そうに言う。


「すまねぇな。
変な気ぃ使わしちまって。」


『別に、暇なのはホントだしね。』


平助はヤル気に満ちあふれている。


「よっし!
新ぱっつぁん!何するか!?」


「相手は病人だからな。
本を読んでやるとか。」


『ガキみたいだな。』


『ガキじゃなぁーい!』


四人がワイワイやっていると、いきなり襖が開く。


「てめぇら!うるせぇー!!」


入ってきたのは、機嫌が最高潮に悪い、鬼の副長様だった。


「見舞いなら、もっと静かにしろ!
こいつの傷が開いたら、どうすんだ。
ったく…ただでさえ、バカは傷が治りにくいのに…。」


「じゃあ、土方さんは何か良い案あんのかよ!?」


「え…?
しっ、知るか!とりあえず、お前らじゃ見舞いにならねえ。
出てけ!!」


土方は三人を掴み、連行する。


「一に薬を持ってこさせる。
それまで寝てろ!」


『え…。』


「えー、じゃねえ!!」


土方は足早に去っていった。


『何だかなぁ。』


蓮は部屋の隅に置いてある、折られた刀を手に取る。


『せっかく、土方に貰ったのにな。
高かったのに、こんな高速で折られるとは…。
刀が無きゃ、私がいる意味ねぇじゃん。
向日葵みたいに炊事洗濯も出来ねーし。』


すると、襖を叩く音がする。

蓮は慌てて刀を置き、布団に入る。


『だっ…だれ!?』


「蓮、俺だ。」


入ってきたのは、白湯と薬、軽い食事をのせたお盆を持った、千鶴と一だった。


「蓮、食べれる?」


『ちょうど腹、減ってたんだ。
ありがと、千鶴。』


千鶴はお盆を置くと、頭を下げる。


「私のせいで、ごめんなさい。」


『千鶴が謝ること無いって。
いっつも世話になってんのに、こういう時に私が活躍しないで、どうすんのさ!』


「でも…。」


『じゃあお礼ってことで、晩飯の量を私のだけ、こっそり増やしといてよ。
それで、おあいこ。』


「良かったな、千鶴。」


「はいっ!」


千鶴に笑顔が戻る。


『んでさ、ずっと気になってたんだけど。』


蓮が箸で薬を指す。


『これ、何?』


「石田散薬だ。」


『うん。
書いてあるから、それは分かる。』


千鶴が付け足す。


「土方さんのご実家で作られている【どんな怪我にも効く薬】だそうです。」


『ただでさえ、胡散臭そうなのが、今ので確信に変わったぞ。』


「何を言っている。
これはなぁ…。」


「さっ、斎藤さん。
あんまり長居すると、土方さんが…。」


「そうだった!
蓮、大人しくしていろ。」


「お大事にね。」


二人はバタバタと帰っていく。


『んー。
この薬、どうしよう…。』
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ