四輪花(銀魂→薄桜鬼トリップ夢)

□Chain of vibration
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「蓮!どこ行ったぁ!!」


昼餉から少しして、土方が屯所内を駆け巡っている。


「くそっ、やはり山崎に監視させておくべきだった…。」


任務で外に出していた部下に、少し後悔を覚える。


「土方さん!」


一が駆けてくる。


「蓮が屯所を出て行ったと、平助が吐きました。」


一は金平糖の袋を片手に、やりきったと笑顔を浮かべる。


「今日の巡察は、総司の一番組と新八の二番組だったよな。」


「はい。
珍しい組合せですけど。」


一番組と二番組についている、椿と蘭が巡察に行くのを聞いた蓮が、着いていくと駄々をこねていたのだ。

土方に着いている蓮は、外に出る機会が極端に少ない。


「ったく…。」


土方は屯所の入り口を見つめていた。






『左之さん。』


向日葵が稽古中の左之に近づく。


『野菜が足りないので、買ってきて欲しいと、千鶴に言われたんですけど…。
八百屋に着いてきてもらえませんか?』


「ああ。
俺で良かったら、行こうぜ!」


左之は向日葵に手を差し出す。


「町は人が多いから、はぐれないように、な。」


『ありがとうございます。』


二人は門へと歩き出す。


『土方さんと斎藤さん。
どうしたんですかね?』


「向日葵。」


『はい?』


左之助のいつになく真剣な表情に、向日葵は目を離す事が出来ない。


「向日葵。
俺と二人の時は、方言使っていいぜ。」


『えっ、知ってたんですか!?』


「パッと聞いたら、分からねーんだけどな。
ちゃんと聞いたら、訛りがある。」


『ホントにいいんですか?』


「その方が、俺は嬉しいぜ。」


二人は笑顔で屯所を出ていった。






『いぇーい!初巡察なり!!』


『静かにしてください、蘭。
そして、沖田組長。
暑苦しいので、離れてください。』


「えぇー。」


「お前らなぁ…。」


テンションの高い四人を筆頭に、新選組が京の町を歩く。


『そう言えば、土方殿から何を言われてたんです?』


「んー。
なんか最近、不逞浪士の出入りが多いらしくて、気をつけてきてって…。」


「土方さんなりに、お前らの事を心配してんだよ。」


すると、椿と蘭の二人は、店の前に置いてある刀を見る。


『やべぇ、マジで欲しい。』


『私たちの…無くなっちゃいましたもんね。』


「買ってあげようか?」


沖田が椿に、ニヤリと笑う。


『さすが、一番組組長様。
お給料もすばらしいんですね。

でも、そんなどこから出てきた分からない、血と怨念に塗れたお金。
そんなもので頂いた刀、使いたくなんてないです。』


椿の言葉に、沖田は表情を崩さない。


「とりあえず、見てくるだけ見てきなよ。」


『そうですね…。』


蘭が色々な刀を物色する中、椿は一つの刀を見つめる。


『(綺麗な刀…。)』


「これがいいの?」


『べ…別に…。』


「中々の上物だね、綺麗だ。
刀は武士の心だから、これを選んだ椿の心が綺麗なんだろうね。」


『沖田にしては、的を得た事を言うな!』


後ろから蘭が声をかける。


「びっくりしたよ。」


『新ぱっつあんが待ってるぜ。』


「じゃあ、行こうか。」


そうして、四人は歩を進めた。
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