光陰の弾道(NARUTO・サスケオチ)

□軌道十二 第三の試験予選!!
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「…誰もいないってばよ……………。」


塔の中には、大きな額が正面に飾られていた。


「サクラ…。
もう、大丈夫だ…。」


「ん…あ!
…うん…。」


『気がきかないなぁ。
そこは嘘でも、肩貸してもらうべきだよ。
サスケは本当に男の子?』


「うるせェ。」


ナルトは辺りを見回す。


「あのさ!あのさ!
どーすりゃいいんだってばよ!」


「ねえ!
アレ、見て…。」


サクラが指差したのは、額の中の文章だった。


「天…無くば………………。
訳分かんねーってばよ……!
あそこ、何か文字が抜けてるっぽいし…。」


「多分…巻物のことよ……。
これって、天地の巻物を開けってことだと思うんだけど…。」


『確かに。
それ以外に、どうしようもないよね。』


ナルトの持つ巻物の片方を、サクラが受け取る。


「それじゃ…開くってばよ…!!」


開くと、中には術式が書かれていた。


「は…!!?
何だこりゃ。
ひと…?じん…?」


すると、巻物が盛り上がる。


『それ、もしかして口寄せじゃ!?』


「ナルト!サクラ!
その巻物を放せ!!」


二人は慌てて巻物を投げる。
すると、煙の先から出てきたのは……。


「え?……!?」


「あ…あんたは……!!?」


『イルカせんせ……?』


「よっ!久しぶりだな。」


いきなりのイルカの登場に、四人は驚く。


「ど…どういうことぉ!?」


「苦労したみたいだな…お前たち。」


「え!!?え!!?
何でイルカ先生が、口寄せで出てくんだってばよ!?」


イルカは四人に歩み寄る。


「この【第二の試験】の最後は、オレたち中忍が受験生を迎えることになっててな…。
たまたま、オレがお前たちへの大切な伝令役を仰せつかったワケだ。」


「伝令役……!?」


イルカは懐中時計を見て、息をつく。


「フー、時間ギリギリだな。
【第二の試験】…4人とも突破おめでとう。

【第二の試験】無事合格を祝って…一楽のラーメンでもおごってやりたいところではあるが……。」


イルカが言い終わる前に、ナルトが飛びつく。


「やったー!!」


「お…おい!ナルト!
話は最後まで…。」


「やった!やった!やった!
やったってばよー!
うれしー!! 」


サクラとサスケ、アズサも安堵から腰を下ろす。


「はぁ…。」


「元気なヤツだな……。」


『ホント、やりきれたね……。』


イルカはナルトを見て、冷や汗を流す。


「落ち着きのないとこは、相変わらずだな。お前は。」


「フン…。
……なるほどな。」


『どったの?』


「もし、オレらが試験途中で巻物を見たら…。
イルカ先生、アンタはどうするつもりだったんだ!」


「サスケ、お前も相変わらず、するどい奴だな…。

察しの通りだ…。
この試験の規則は、お前達の確実な任務遂行能力を試すためのもの…。

つまり、もし試験中に規則に反する条件で巻物が開かれた場合。」


「開かれた場合…!?」


「………その目の前の受験者には………。
【第二の試験】終了時刻まで、気絶していてもらうよう、命じられていた。」


サスケは鼻で笑う。


「フン…。
開かなくて、よかったな…お前ら…。」


『カブトさんに感謝だな。』


すると、サクラが額を指差す。


「あ!そうだ、先生!!
ところで、あの壁紙は何なの?

…なんか、虫食い文字になってるし…。
私たちじゃ、全然意味分かんないんだけど。」


「そんなの、いーじゃん!いーじゃん!
オレたち合格したんだからさァ!!」


すると、イルカは苦笑する。


「いや…オレは、それを説明するための伝令でもあるんだかな…。

読んでみろ…。
こるは、火影様が記した【中忍】の心得だ。」


「心得…!!?」


「そう!
この文章の【天】とは、すなわち人間の頭を指し。
【地】は人間の体を指してんのさ。」


「ふ〜ん。」


イルカは頭を指差す。


「【天無くば智を識り機に備え】。
あれはつまり…たとえばナルトの弱点が頭脳にあるのなら…。
【様々な理を学び、任務に備えなさい】。

そして…。
【地無くば野を駆け利を求めん】。
サクラの弱点が体力にあるのなら。
【日々鍛練を怠らないようにしなければなりませんよ】…という意味だ。」


「へへ…。」


「そして、その天地両方を兼ね備えれば、どんな危険に満ちた任務も正道…。
…つまり、覇道ともいえる安全な任務になりえる…ということだ!」


『それが……中忍の資格。』


「じゃあ……あの抜けた文字のところは……?」


「だから…中忍を意味する文字…。
さっきの巻物にあった【人】という一字が入る、というわけだ…。

この五日間のサバイバルは、受験生の中忍としての基本能力を試すためのもの…。
そして、お前達はそれを見事、クリアした。」


イルカは四人に真剣な眼差しで言う。


「中忍とは、部隊長クラス…。
チームを導く義務がある…。
任務における知識の重要性、体力の必要性を、さらに心底心得よ!!

この【中忍心得】を決して忘れず、次のステップに挑んで欲しい。
これが…オレが仰せつかった伝令のすべてだ!」


「了解!!」


ナルトは満面の笑みで応えた。
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