光陰の弾道(NARUTO・サスケオチ)

□軌道二十 旅立ち!!
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終末の谷と呼ばれる国境。
そこに、サスケの姿はあった。


『サスケ!』


アズサの声に、サスケは止まった。


『ねえ、サスケ……。
行っちゃうの?』


アズサの言葉に、サスケは何も返さない。


『私、ずっと悩んでた。

隙が出来て、サスケと二人きりになるチャンスがあれば、連れ戻そうって思って、ついてきた。
けど、それが出来ないなら、サスケと一緒なら、どこでもいいって……。
それが、里の皆を裏切ることになっても、皆が平和じゃなくても……。
自分勝手だけど、私の世界平和は、サスケが幸せなら、それでいいと思ってたから……。

でもね、サスケのために、皆が来てくれたの見て。
必死で戦ってるのを見て。
やっぱ、ダメだ。』


「…………。」


『私は……私の世界平和は、サスケだけじゃないんだよ。
やっぱ、皆が幸せじゃなきゃ、意味がないんだよ!!』


アズサはサスケを真っ直ぐに見つめる。


『サスケのことだから、大蛇丸に利用されてでも、力を……って思ってるんだよね。
分かってるよ。
でも、それを簡単に承諾は出来ない。

サスケの仲間としても、家族としても……何より、恋人としての私が許さない。』


アズサは愛銃を構える。


『ここを通りたきゃ、私を倒しな!
って……言ってみたいと思ってたけど、いざ言う時になると、こんな辛い言葉だなんてね……。』


「アズサ。」


『私はっ……。
私は、サスケが好きだ。
どんなにサスケに嫌われても、避けられても……。
いつでも、どんな時も、何だってっ!
サスケが好きで、好きで、大好きだっ!!』


アズサの放った銃弾を、サスケは避ける。
そして、アズサの目の前に立つ。


「オレもだ。」


『サスケが敵になっても、サスケがサスケじゃなくなっても、大好き……。』


「ああ。」


『嫌だよ。
離れたくないよ。
遠くに行っちゃヤダよ。
一人にしないでよ……。

約束……破らないでよ……。
ずっと……ずっと……私を…………守ってよぉ……。』


震える右手を、銃ごと握りしめ、サスケは呟く。


「ワリィ……。」


『悪いと思うならっ……。』


「オレは、お前まで失いたくない。
父さんと母さんみたいに……お前を失うのは嫌だ。」


『サスケ……。』


「絶対に、迎えに来るから。
待っててくれ。」


サスケの唇が、アズサのに重なる。
それは、一瞬で。


「愛してる。」


薄れゆく意識の中で、アズサは思う。


――伝えたいことは、まだまだあるのに――


――ここで、引き止めなくちゃいけないのに――


――サスケの目から零れてるのを、拭ってあげたいのに――


サスケの腕の温もりを感じながら、アズサは落ちていった。
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