光陰の弾道(NARUTO・サスケオチ)

□軌道十九 裏切り!!
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アズサはサスケの後ろを歩く。
出発してから、サスケが口を開く事は、一切なかった。


『(…………てか、休みなしかよ。)』


アズサは、出発する時の事を思い出す。


『(それだけ、本気なんだね。)』


アズサは拳を堅く握った。


――――――――――――


アズサの言葉に、サスケは眉をひそめる。


「来るな。
お前は帰れ。」


『帰らない。
絶対に離れない。』


先に視線を逸らしたのは、サスケだった。


「……どいつもこいつも。」


『サクラとは違う。
ただ、一緒に行くだけだから。
私のせいで、サスケが行くなんて、絶対に嫌だもん。
だから、そうじゃないって、自分に言い聞かせるだけ。』


アズサはふっと笑う。


『それだけだよ。』


――――――――――――


『(サスケは、私の言葉、何割信じてくれてるんだろ……。)』


すると、音の四人衆の足が止まる。


「サスケ様…この辺りでいいでしょう。
もう、木ノ葉の里は抜けました。」


「……何だ?」


「実は、大蛇丸様から仰せ付かった大切な事が、一つあります…。」


「…だから、何の話か訊いてる。」


「アナタに一度、死んでもらわなきゃなりません。」


左近の言葉に、サスケとアズサは息を呑む。


「一度…死ぬだと…?」


『何言ってんの、アンタ。』


左近は丸薬を取り出し、サスケに見せる。


「醒心丸。
これを飲んでもらいます。」


「…セイシンガン……?
何だ、それは?」


「アナタの呪印レベルは【状態1】。
この丸薬は、呪印の力を【状態2】に無理矢理覚醒させるもの。」


「ただし、【状態2】になれば、呪印の侵食スピードが、急激に上がって、そのままだと、すぐ死んでしまう。
…しかし、【状態2】の力をコントロールするには、その【状態2】を身体に長時間かけて、慣らす必要があります。

【状態2】を手に入れれば、おそらく…アナタは我々と同等の力を手に入れることが出来ますが…。
覚醒すれば、数分ともたず、確実に…死ぬ。」


『っ……やっぱ、アンタ達!』


アズサを止めたのは、サスケだった。


『サスケ……?』


「…死んで、その後はどうなる?」


「心配要りませんよ…。
その為に、我々がいるのです。
我々の結界忍術で、副作用を抑え込み、永久の死から仮死状態へと、段階を和らげる。」


「お前らの、その結界忍術とやらは、信用できるのか?」


「サスケ様よォ…。
本来、オレ達四人衆は大蛇丸様の護衛役として存在してるエリートぜよ。
だから、結界や防壁の忍術。
呪印・封印術に長けてる。」


『待って!』


慌てて叫ぶのは、アズサだった。


『そんな危ない賭け……悪いけど、私は信用出来ないよ。
結界忍術だか、封印術だか知らないけど、そんなのでサスケが……。』


「アズサ様、気持ちは分かります。
ですが、サスケ様が強くなるには、これしか……。」


『仮にそうだとしても、そんなのっ……サスケ?』


サスケはアズサを一瞥すると、薬を一粒取り出す。


『サスケっ……!』


「頼むぞ…。」


サスケは薬を飲み込む。


『サスケっ!!』


「うっ…!」


膝を着くサスケに、アズサが駆け寄る。


「オイ、お前ら。
チンタラしてっと、サスケ様にコロっと逝かれちまう。」


左近は大きな棺桶を口寄せる。


「アズサ様、お下がり下さい。」


多由也がアズサを離し、次郎坊がサスケを棺桶に入れる。


「位置に着け!
始めろ!!」


四人が印を結び、術を発動する。


「【四黒霧陣】!!
【封黒法印】!!」


呆然とするアズサの前で、四人は結界を張り終える。


「…良し。
一段落だぜ。」


左近は呟き、アズサの前に立つ。


「アズサ様、終わりました。
後は、サスケ様が目覚めるのみです。」


『本当に……本当に、サスケは無事?』


「ええ。」


「とにかく、出来るだけ早く抜けたいな。」


アズサは顔を歪めて、棺桶を見る。


『サスケ……。』


呟きは誰の耳にも入らない。
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