光陰の弾道(NARUTO・サスケオチ)

□軌道十八 決別!!
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アズサは、森の中にいた。


『…………。』


脳裏を過ったのは、前より遠くなったイタチと、眠ったままのサスケ。


『前は、もっと簡単だったんだ。
家族だから、救いたい。
家族だから、守りたいだった。

でもね。
今は違うんだよ。
ただ、大好きなんだ。
隣にいたいんだ。
ずっと、支えて守って頼って……皆と一緒にいたいんだ。』


アズサは銃を構える。


『だから、そのためなら……。』


アズサの打った弾丸は、綺麗に的の中心に当たる。


『イタチ兄ぃも、サスケも……皆、バカだよ。』


――――――――――――


病院では、綱手の治療により、サスケの目が覚めていた。


「サスケくん…。」


「…………。」


サクラはサスケに抱きついている。
だが、サスケは抵抗しない。


「サスケ…おま…。」


ナルトは口を開くが、二人の様子を見て、口をつぐんだ。
そして、病室を出ていく。


「…………は。」


「え?」


「アズサは、無事か?」

サスケの第一声に、サクラは少し顔を歪ませる。
しかし、すぐに取り繕う。


「アズサなら、ピンピンしてるわよ。
朝一番にサスケくんの顔見て、燃料補給できたーって叫んで、修業に行ったわ。」


「…………。」


「まったく、こんな時まで修業だなんて。
どれだけ、戦闘狂なのよ。」


「あいつは、戦闘狂なんかじゃねーよ。」


「え?」


「いや。
あいつが無事なら、それでいい。」


その言葉に、サクラは何も言えなかった。


「これ…は?」


サスケは首にかけられたペンダントを掴む。


「それ、アズサがつけたの。」


サスケの表情が、それだけで優しくなる。

それを直視してしまったサクラは、林檎を取り出し、剥き始める。
そして、心の中で謝るのだ。
目覚めた時、隣にいたのが自分で、ごめんなさいと。


「…くっ。」


それとは対象的に、サスケの中は、色んな思いで溢れ返っていた。


――何故、弱いか…足りないからだ…
…憎しみが……――


――…ありがとう
…今回も、サスケくんが砂の手から、助けてくれたんでしょ――


――アイツは、お前を助けるために、死にものぐるいで戦った
今までに見せたこともない力を見せてな――


――サスケ……サスケは私が守る
だって、私は……――


どんどん強くなっていくナルトに、サスケは焦燥を感じる。
このままでは、アズサを守れない。
その上、ナルトにアズサを奪われるのでは、と……。


「サスケくん、リンゴよ!」


サスケの思考を遮ったのは、サクラだった。
その手には、食べやすいように切られたリンゴが乗っている。

サスケは、それを睨みつけ、叩き落とす。


「キャ!

………!?
…サスケくん。」


そこに、運悪く入ってきたのが、ナルトだった。


「!」


「……!?
な…なんだよ!?」


サスケは殺気を込めて、ナルトを睨む。


「そ…そんなに、にらむことねーだろ?」


「オイ…ナルト。」


「な…なんだよ!?」


「オレと今から…戦え!」


その言葉に、サクラも驚きを隠せない。


「え!?
病み上がりのクセに、何言ってんだ?」


「いいから、戦え!!
オレを助けたつもりか?
五代目か何か知らねーが…。
余計な事、させやがって。」


「なにィ!」


睨み合う二人に、サクラは慌てて仲裁する。


「サ…サスケくん。
ちょっ…どうしちゃったの!?
ナルトも何か言いなさいよ!
いきなりこんな…。」


「………ちょうどいいってばよ!
オレも、お前と戦りたいと思ってたとこだ…。」
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