空色スパイラル2

□紅桜編
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「お茶です。」


新八はエリザベスに湯呑みを出す。


「……………あの…。
今日は何の用で?」


一言も発しないエリザベスに、銀時は訊ねる。
しかし、エリザベスは無言のままだ。


「…なんなんだよ。
何しに来たんだよ、この人。
恐えーよ。黙ったままなんだけど。」


『ってか、まず人なんすかね?
外身はえいりあんって設定っすよ。』


「別にいいだろ、んなもん。
それより、怒ってんの?
なんか怒ってんの?
なんか俺、悪いことした?」


「怒ってんですか、アレ。
笑ってんじゃないですか?」


「笑ってたら、笑ってたで恐いよ。
なんで人ん宅来て、黙ってほくそ笑んでんだよ。
なんか企んでること、山の如しじゃねーか。」


「愛さん、エリザベスと仲良かったじゃないですか。
なにか、分からないんですか?」


『エリーは今日も可愛いなぁ〜、とか。
……………ごめんなさい。』


神楽は新八に耳打ちする。


「新八、お前のお茶が気にくわなかったネ。
お客様はお茶派ではなく、コーヒー派だったアル。

お茶くみだったら、そのへん見極めろヨ。
だから、お前は新一じゃなくて、新八アルネ〜。
なんだヨ、八って。」


「んなもん、パッと見でわかるわけないだろ!!」


「俺すぐ、ピンときたぞ。

見てみろ、お客様。
口がコーヒー豆みたいだろーが、観察力が足りねーんだ、お前は。」


『思い立ったら、即行動っすよ!!』


新八はコーヒーをエリザベスの前に置く。


「…………。」


「オイ、なんだよォ!!
全然変わんねーじゃねーか!」


「銀さんだって、コーヒー豆とか言ってたでしょーが!!」


「言ってません〜。
どら焼、横からの図と言ったんです〜。」


『なんか、美味しそうに見えてきた…。』


「愛さん、食べないでくださいよ!」


「ちょっ、もうホントいい加減にしてくんない?
なんで自分宅で、こんな息苦しい思いをしなきゃならねーんだよ。

あの目見てたら、吸い込まれそうなんだけど。」


すると、万事屋の電話が鳴る。


「あ、ハイハイ。
万事屋ですけど。」


銀時が電話に出てる間、愛と新八と神楽は作戦会議をする。


「愛、新八。
こうなったら、最後の手段ネ。
アレ出そう。」


「え?いや。
でもアレ、銀さんのだし怒られるよ。」


『そうっすよ、私にも分けてくれないのに……。』


「いいんだヨ。
アイツも、そろそろ乳離れしなきゃいけないんだから。

奴には親がいない。
私達が、立派な大人に育てなきゃいけないネ。」


すると、銀時は愛を掴み、玄関へ向かう。


『ふぇ?』


「おーう。
俺ら、ちょっくら出るわ。」


「!!
あっ、ちょっと。
どこ行くんですか!?」


「仕事〜。
お客さんの相手は頼んだぞ。」


「ウソつけェェェ!!
自分だけ愛さんと逃げるつもりだろ!!」


『ふっ、二人とも頑張って!』


愛は銀時に引きずられ、去っていった。
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