空色スパイラル2

□第七十六訓 何であれ やるからには負けちゃダメ
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銀時に愛、新八、キャサリンは、お登勢の奢りで焼き肉を食べに行く。
そのため、遊びに出かけた神楽を探しに、公園に来ていた。


「あっ、アレ。
神楽ちゃんじゃないスか?」


「あっ、いたいた。
おーい。」


神楽は、銀時達を呼び寄せる。


「あ〜、缶蹴り?」


「ウン。あのジジイが、みんなでやろうって!
やろうヨ。」


「何言ってんの、お前。
知らねーおっさんと遊ぶなって、脇がすっぱくなる程、言っただろ。
バカか、お前。
さらわれてーのか?」


「おっさんじゃない、ジジイじゃぞ。
エエじゃろ?」


「だまれ。男は、みんな獣だ。」


『まあまあ、ちょっとぐらい付き合ってあげよ。』


「愛が、一番食べたがってたじゃねーか。」


『だけど…。』


銀時は背を向ける。


「もう、いくぞ。
しらねージジイより、しってるババアだ。
なんか、焼き肉食わせてくれるらしいぞ。
珍しく。

これからの時代、ジジイよりババアだ。
スゲーぞ。このババアは【苦しい時 そんな時 頼りになるババア】。
略して……。」


「クソババーじゃねーか、コノヤロー!」


「おーい。
俺が鬼やってやるから、やろーぜ。
缶蹴ってくれよ、缶!」


「シツケーナ、クソジジー。
ソンナニ蹴ッテホシイナラ、蹴ッテヤラァァ!!」


キャサリンは缶を蹴り飛ばす。


「アレ、20秒以内ニ、拾ッテキナ。
ソシタラ、遊ンデヤルヨ。クソジジイ。」


「ワルッ!ワルだよ!!」


「キャサリン、てめー。
年寄り、いじめてんじゃねーヨ!」


「オ黙リ。
アタイハ、タンパク質ガトリタクテ、ウズウズシテタンダ。

サァ!ババアノ、気ガ変ワラナイウチニ、イクヨ!」


「キャサリン、お前は帰って店番な。
年寄りをいたわれない奴が、年寄りに優しくしてもらえると思うなよ。」


「ナニ言ッテンスカ。
オ登勢サンハ、年寄リナンカジャナイッスヨー。
マダマダ、ピチピチヨ。」


すると、缶が地面に置かれる音がする。


「よーし。
缶、拾ってきたぜー!!

缶蹴り、開始ィィ!!」


おじいさんは、杖を振り上げ、高らかに言った。






「ハァー。さっさと終わらせとくれよ。」


見学中のお登勢とキャサリンは、呑気に煙草を吸っている。


「ムッフッフッフッ。
たまらんぞ、この緊張感。
まるで、ガキの頃に戻ったようじゃ。

準備はできたかーい、よい子のみんな!!
じじい!いっきまーす!!」


四人は、おじいさんを陰から見ている。


「どこへだ?あの世にか。

…ったく、なんであんな見ずしらずのジジイに、つき合わなきゃならねーんだ。」


『まあまあ、楽しそうだし。
いいじゃないっすか。』


しかし、新八は乗り気ではないらしい。


「焼き肉、食べに来たのに。
もう僕、おなかペコペコなんで。
おじいちゃんには悪いくど、適当につかまって、早く切り上げません?」


「ふざけるなァァァ!!
何の努力もせずに、自ら負けを選ぶとは、貴様それでも軍人か!!
貴様のような奴を、総じて負け犬と言うんだ!!

軍曹!!曹長!!
この負け犬を軍法会議に!」


「でかい声で鳴くな、チワワ。
なんであれ、やるからには負けるつもりはねェ。」


「焼き肉も、負けて食うより、勝って食う方がうまいであります。
軍曹、曹長。」


「その通りだ、チワワ一等兵。」


『頑張ろうね!』


銀時は作戦を話す。


「缶蹴りなんざ、しょせんガキの遊びよ。
鬼に見つかる前に、あの缶を倒せば勝ち。
要は見つからずに、あの缶を倒す方法を見つければいい。

そーいうことで、発射用意。」


『「あいあいさ!」』


銀時と愛、神楽は石を構える。


「それは、缶蹴りというんですか。
軍曹ォォ!!」


「缶蹴りだ、純然たる。
小さい頃を思い出してみろ。
風で缶が飛ばされて、せっかくつかまえた人質がパーになって、泣いてる鬼がいたろ。
アレがアリなら、これも…。」


「ナシだろォォ!!
自然現象でも、何でもねーし!」


『懐かしいなぁ。
よく、小太郎がなってた。』


「桂さんかよ!」


神楽は熱く語りだす。


「貴様は甘いんだよォ!
缶蹴りはなァ、いかに憎たらしく缶を倒し、鬼をいじめ泣かせるか。
そーいう、悪魔の遊びでもあるんだよ!!

鬼になったら、もう終りなんだよ!
何回も何回も、缶倒されて。
みんなが隠れるまで100数える間に、数えるフリして何回泣いたことかァァァ!!」


「そんな、苦くも甘酸っぱい遊び…。」


「それが、缶蹴りだァァ!!」


銀時の投げた石が、おじいさんに直撃する。


「おいィィィィィィ!!
缶蹴りどころか、人殺しィィィィ!!
コレは、純然たる人殺しだよ!!」


『大丈夫かな、おじいさん。』


「チワワぁぁ!!
誰が、ジジイに当てろと言ったァァ!!」


「軍曹ォォ!
お言葉ですが、アレは軍曹の投げた弾であります!
軍法会議モノですよ、コレは。」


「フツーに裁判沙汰だよ!人殺しがァ!!」


しかし、おじいさんは怪我一つなく、起き上がった。


「ちょっと待て!
起きた!!普通に起きた!!」


「チッ!」


神楽は、傘の仕込みライフルを発射する。


「くたばれェェ、ジジイがァァ!!」


「だから、それ缶蹴りじゃねーって!!」


しかし、おじいさんは杖で全ての弾を弾く。


「杖で缶を!」


「なんだ?あの身のこなし。」


「みーつけた!!そこじゃァァァ!!」


おじいさんは、何かを投げつけてくる。


「い゙!!くない!?」


「うおおおお!!」


「なっ…何者だ、あのジジイ!?」


『クナイってことは、忍者っすかね?』
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