空色スパイラル2

□第七十五訓 似てる二人は喧嘩する
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久しぶりに、銀時とご飯を食べに来た。


「へい!土方スペシャル一丁!!

へい!宇治銀時丼一丁!!
あと、チョコパね。」


そこで、初めて一人挟んで反対側に、土方が座っているのに気がついた。


「「ん。」」


『あっ、十四郎じゃん!』


銀時と土方の機嫌が悪くなる。


「オイオイ。
ちょっとわりーんだけど、そちらのマヨネーズの方。
席、外してもらえねーか?

そんなモン、横でビチャビチャ食われたら、食欲が失せるわ。
ねっ、おじさん。」


「え?俺?」


「だったらテメーが席、外した方が、得策じゃねーのか?

ご飯に小豆かけて食うような、いかれた味覚の奴に、定食屋に来る資格はねェ。
ねっ、おじさん。」


「いや…あの…。」


『二人とも、仲良く食べよっ!
他のお客さんに迷惑だから。
ねっ、おじさん。』


「えっ…あ…。」


しかし、銀時と土方はヒートアップする。


「太古の昔から、炭水化物と甘い物は合うとされているのをしらねーのか?
あんパンしかり、ケーキしかりよォ。
ねっ、おじさん。」


「え?いや、しらないけど。」


「何を味わうにも、まずそれを引き立てるイレギュラーさが必要というのが、わからんのか?
塩気、酸味をきかせることで、元ある食材の味が、より引き立つんだ。
つまり、マヨネーズだ。
ねっ、おじさん。」


「いや…もう、ちょっと。
俺にふらないでくれないでくれない。
関係ないから。」


『じゃあ、間をとってチョコパに小豆か、チョコパにマヨネーズで。』


「もう、間になってないからね!それ!」


「俺の宇治銀時丼を、お前の犬のエサと一緒にするなよ。

これはな。
昔デザートと飯をバラバラに食うのがたるかった。
サンドイッチ将軍がつくり出した、由緒正しい食べ物なんだよ。
ねっ、おじさん。」


「いや、誰?
サンドイッチ将軍って、サンドイッチじゃないじゃん。
それ、ご飯じゃん。」


「それを言うなら、俺のだってなァ。
飯とマヨネーズをバラバラに食うのがたるかった、バルバロッサ将軍が…。」


「だから、誰ェェ。その将軍達は!?
マヨネーズなんて、別に必ずとらなきゃいけないものじゃないし!」


しかし、おじさんを残して、話はどんどん進んでいく。


「そんなに言うなら、宇治銀時丼とお前の犬のエサスペシャル。
どっちが優れてるか、食べ比べてみるか?
ねっ、おじさん。」


「ねっ、おじさん。って何。
ちょっと、まさか俺が…。」


「上等だ。
ねっ、おじさん。」


「待てェェェ!
全然、上等じゃないから!!
何ィィ!?俺が食べるカンジになってんの!?」


『じゃあ、ついでに折衷案の【チョコパwith小豆、マヨネーズを添えて】も!』


「ちょっとフランス料理的なノリにしてるけど、君のが一番危ないから!!」


「公正な判断は赤の他人じゃねーと、下せんだろう。
そーいうことでねっ、おじさん。」


「頼むわ、ネおじさん。」


「ネおじさんって何!?
なんか名前みたいに…。」

『ネおじさん、あーん。』

「うごっ…ムガモゴ。」


「どうだ、ネおじさん。
俺のがうまいだろ?
アレ?ネおじさん?」


『ネおじさん、しっかり!!』


「ネおじさァァァん!!」






銀時と愛は定食屋を後にして、映画館に向かう。


『ずっと見たかったんすよ。』


「で、どれが見たかったんだ?」


『アレ!』


看板には、【となりのペドロ】と書かれていた。
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