空色スパイラル2

□第七十四訓 キャバクラ遊びは20歳になってから
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その日、万事屋に珍しい客が来た。


「愛、お願いがあるの。」


『妙!どうしたんすか!?』


「キャバ嬢になって、銀さんから金を巻き上げて欲しいの!!」


『えっ!?』


お妙によると、店で売り上げ勝負をし、負けた方は店を辞めなくてはならない。
そこで、愛をエサに銀時を釣る作戦らしい。


『だから、銀時と神楽を出かけさせたんすね。』


「お願い、愛。
あなたに道場の再興と生活費がかかってるのよ。」


『私なんかで良かったら、手伝わせて!
もともと、お妙がキャバ嬢になったのも、銀時が給料払わないせいだったし。』

「ホントに大好き!!」






店に銀時とマダオが入ってきたのが分かる。


「ここであってんだよな。
ここでいいんだよな。」


「オイオイ。
ここ高っけーんじゃねーの。
大丈夫か?」


「えーと、二名様で?」


二人が話している中、愛はお妙の横にスタンバイする。


「銀さーん、長谷川さーん。
こっちです。」


「愛さん!?」


銀時はため息を吐く。


「愛をエサにされたら、来るしかねぇだろ。
全く…今時は何があるか分からねーしな。」


『大丈夫っすよ。
妙が色々教えてくれたし!』


「いやー。キャバクラなんて、久しぶりだぜ。」


「オイ。ホント、サービスしてくれるんだろうな。
あんま金ねーぞ。」


お妙、銀時、愛、マダオ、おりょうの順でテーブルにつく。


「うぃーす、おりょうでーす。
わっ!カッコイイ、グラサン!」


「えっ?わかる。
高かったんだよコレ、実は。」


「とりあえず、何?
ケツとか、さわっていいの?」


銀時が言った瞬間、両側から肘鉄が入る。


「冗談だよ。
愛は別として、お前の貧相なケツさわる位なら、パン粉を練り続けた方がマシだ。

サービスって何?
こんなサービス御免だよ、ちょっと。
それに、愛に何仕込んでんの!?」


『だって、お妙がセクハラ紛いの発言には、肘鉄がいいって…。』


「ちょっ…おまっ。」


「どうだか、鼻血なんてたらして、いやらしい。」


「すごいや、この人。
何行か前の事、もう忘れてるよ。」


お妙が笑顔を向ける。


「とりあえず、何飲みますぅ?
ドンペリとか。
あと…そうね。ドンペリとかあるけど。」


「焼酎水割り。」


「わかりました。
じゃあ、ドンペリで。」


「誰かー。通訳呼んでくれ。」


「ドンペリか〜、なつかしーな。
幕府にいた頃は、接待とかでよく飲んでたよ。

でも今じゃ、ちと高すぎて、手が出ねーな。
なんか、もっと安いのでいいよ。
ビールとか…。」


しかし、メニューを見て、銀時とマダオの顔は蒼白になる。


『すごーい。
なんだかんだで、全部ドンペリだ!
【首領ペリ】とか、センスいいっすね。』


「ぼったくりだ。
間違いねェ…ぼったくりバーだよ、ココ。」


「バカな。
お妙ちゃんに限って、そんな。」


「だって、ドンペリのドンペリ割りって、なんだよ?
割り切れねーよ。
ドンペリも俺の気持ちも、割り切れねーよ。」


お妙とおりょうは勝負に出る。


「銀さ〜ん。
私、久しぶりにドンペリが飲みたいドン。」


「ドンって何?
久しぶりって、飲ましたことねーよ、そんなもん。」


「長谷川さんのグラサンとドンペリ、合うと思うんだけどな〜ペリ。」


「ペリ!?
おかしい!おかしいよ!
ってか、ほめるところグラサンしかねーのか!?

オイオイオイオイ。
語尾を合わせたら、ドンペリになっちゃったよォ。」


「サブリミナル!サブリミナルかァ!!
俺達の深層心理に、直接働きかけるつもりかァ!!
耳をふさげェェ!!
惑わされるなァ!!」


お妙が愛にアイコンタクトする。


『銀時。』


「なっ、何?
どうしたの、愛ちゃん。」


『ドンペリ、飲んでみたいなぁ。』


「愛のためなら……。」


「すいませーん。
ドンペリ五本、お願いドン…。」


「って、騙されねーぞ!」


銀時は急いでお妙の口を塞ぐ。

その時、店が最高潮に盛り上がった。
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