空色スパイラル2

□第六十六訓 さくらんぼってアレ桜の木になるの?
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「ぶェくしょん!」


「はくしょん!」


『くぇくしょん!』


「まいけるじゃくそん!!」


万事屋の四人は、ティッシュを片手に、定位置に座っている。


「オイ。
まいけるじゃくそんは、ないだろ。
それはお前、くしゃみじゃ…じゃねっとじゃくそん!!」


「まえだたいそん!」


「うるせーよ、普通にしろ!」


新八は突っ込みながらも、鼻をかむ。


「あー、ムズムズする。
今年の花粉は、例年にもましてヒドイなァ。」


『私、花粉症になったの、初めて…。
なんか、涙ながら家路につく、お父さんの気持ちがわかるよ。』


「もう街中、みんな花粉症でグジュグジュになってますよ。
どーなってんスか?」


「スギ花粉じゃないらしいよ、今年は。
なんか、どこかの星の植物らしくて、タチ悪いらしい…ブェークション。

あーチクショ、この作品は…フィクショーン!!…です。
実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。」


「余計な気を回さんでいいわ!」


新八のツッコミで、くしゃみが一時的に止まる。


「なんか、ババアもよォ。
寝込んじまって、店休んでるらしいよ。

こりゃ当分、家出ねー方がいいな。」


「あっ、ティッシュきれた。
新八、買ってこいヨ。」


『私の分もよろしく。』


「話聞いてた!?」


「いいから買ってこいヨ。
どうせ、ティッシュ買ってくるしか、能がないきせに。」


「なんだとォォ、クソ女ァァァ!!
お前やっぱ、星に帰れェェェ!」


すると、銀時はタンスの中を漁り始める。


『何、探してんすか?』


「紙。」


愛も一緒に探し始める。


「あー、なんか内も外も変わんねー気がしてきたぜ。」


『あっ、あったよ。
はい、トイレットペーパー。』


「サンキュ。
それより、一体どこから入ってくんだ、この花粉?

意外と近場で、花粉撒き散らされてんのかもな。
いや、でも。
このかぶき町に植物なんて…。」


愛が窓の外にそびえ立つ、植物だらけの建物を指差す。


『あ、あったよ。
植物のオンパレード。』


「ん、あり?
うそ?あり?」


二人が目を凝らしていると、玄関からチャイムが鳴る。


「ハーイ。」


いつも通り、新八が玄関の戸を開けると、目の前にいたのは恐ろしい形相の天人だった。
頭からは、一本の花が咲いている。


「どうも、初めまして。
となりに越してきました、屁怒絽です。」


あまりのインパクトに、新八は大量の鼻血が吹き出す。


「今日は、ごあいさつにあがりました。
僕、花屋をやっていまして。
お近づきの印に、これどうぞ。」


ヘドロは、花の咲いた鉢植えを、新八に渡す。


「いろいろと、御迷惑をおかけするかもしれませんが。
なにとぞ、よろしくお願いします。」


ヘドロは強烈な笑みを残し、万事屋を去って行った。


「恐ェェェェェェェ!!恐ェェェェェェよ!

なんだよ、アレはよォォ!!
となりのヘドロ、メッチャ恐ェェェェ!!」


『なんか、影が濃いっていうか…。』


「影が濃いなんてレベルじゃねーよ!

オイ、ひょっとしてアレかァァ!!
アレ、ヘドロの森かァァ!!」


銀時は、例の建物を指差す。


「うわっ。なんスか、アレ!?
メッチャ花粉、飛ばしてるじゃないスか!

江戸の花粉症騒ぎは、アレが源だったのか…。
どうりで、みんなほったらかしにしてるハズだ。
クレームつけたら、殺されそうだもん。」


「オイオイ、とんでもねーのが、引っ越してきちまったな。」


「でも、お花屋さんって言ってたヨ。」


「バカ言ってんじゃねーよ。
どう見ても、あのツラ。
地球征服しにきたツラだろーが。

昼間は花屋で、夜は本業の地球征服してんだよ。
花粉で人々を弱らせてから、地球征服するつもりなんだよ。」


「マジでか!」


「あっ。
そういえば、花置いていったけど。
アレ……。」


四人の視線が、さっき貰った鉢植えにいく。

次の瞬間、四人は部屋の外へ飛び出した。


「あっ、定春。
早く来るアル、爆発するヨ。」


「えっ!!爆発すんの!?」


「定春のことは諦めろ。
早くしねーと、毒ガスが!」


「えっ!?毒ガス出るの!?」


『いや〜!
定春がサイバイマンにやられるなんて〜!!』


「えっ!サイバイマン生えるの!?」


「定春ゥゥ!!
そんな、これでお別れなんて、ひどいヨ!!」


銀時が暴れる神楽を押さえていると、また戸が開く。


「回覧板デース。」


現れたキャサリンは、それだけ言うと、回覧板を投げて出ていく。


「キャサリン、てめー。
回覧板なんて、回してる場合じゃねーだろうが!
地球が、征服されっかもしんねーんだぞ!」


「あっ!!
銀さん!愛さん!大変だ!!

回覧板、次…となりのヘドロさんちだ。」


四人の顔から、血の気が失せた。
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