空色スパイラル2

□第六十四訓 キャラクターはシルエットだけで読者に見分けがつくように描き分けよう
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すると、さっちゃんの頭をキャサリンが掴む。


「コルァァァァ、小娘ェェ!
さっきから、だまってきいてりゃ、イキナリ出てきてヒロインヅラかァ!?
ここは、そんな甘い世界じゃねーんだよ!

てめー、何話から出てるかしらねーけどな。
アタイは、てめーが登場する、はるか前。
四話から、もう出てんだよ。
この漫画のヒロインは、あたいなんだよォォ!!」


「全く猫耳を役立ててないオバさんが、だまりなさいよ。
その耳がね、私についていれば【忍者】【眼鏡】【猫耳】、萌え三種の神器が揃うのよ。」


「このギャップがいいんだろーが!
猫耳なのに、オバさんっていう。」


そこに、お妙まで参戦する。


「いい加減にしなさい、二人とも!
こんな所、神楽ちゃんがもし見たら、どんな気持ちになると思っているの!!

ちなみに、私は一話から出てるアルけどね


そんな中、寝ていた愛が目を覚ます。


『あり?私、寝てた…?』


「起きたのかい?」


すると、愛は周りが酒を飲んでいた事に気づく。


『あっ、私をハミって酒を飲むなんて!』


「ちょっ…愛。
酔いやすいのに、そんなに飲んだら…。」


端で、こんなやりとりが行われている間も、口論は続く。


「なーに、私は別格みてーな顔してんだ、ニャンボワザァ!
キャラ的に言えば、お前が一番うすいくせによォ、ニャンボワザァ!」


「濃ければイイ、ってもんじゃないわよ。
アナタ、顔が濃すぎるニンニン。

それから、アナタ。
一話から出てるって、調子に乗るなよメガネビーム。」


「でも、一話から出てるもんアル。
ちなみに、登場回数も一番多いけどねアル。」


「なんなの、アナタ達。
たいして銀さんの事、好きでもないくせに、邪魔しないでくれるニンニン。」


「好きよ…軍手の次にアルアルけど。」


「それ、ランク何位?ニャンバサダァ。」


「私が好きなのは、私と愛だけよ。
だから、愛以外の誰にも、負けたくないのよアルアル大事典。」


「ちなみに、あたいは。
あんなダメ男、好きでもなんでもないけどね!
ちょっと出番、増やしたいだけみたいな、ニャバゼバァー!」


「お前ら帰れェェェ、メガネクラッシュ!!」


すると、店の端から机を叩く音がする。


「愛?」


『いい加減にしてよ…。
ヒロイン、ヒロインって!!』


三人にも、反省の色が見える。


『大体、さっきからグダグダうるせーんすよ…。
神楽がいなくなって、定春の世話する奴が、いねーんだよぉ!
さっさと、世話係〔ヒロイン〕決めやがれ!!』


「愛…。」


「やべぇな、アレが発動しちまった。」


愛は銀時達に指を差す。


『男共で、何とかしやがれ!!
お登勢さん、酒くれ!!』


「このままじゃ、いつまでたっても決まらねェ。
俺達、男の意見をとり入れろ。」


マダオが振られたため、三人に言う。


「俺達、野郎からしてみれば。
ヒロインってのは、満たさなきゃならねー、三大条件ってのがある。
それは…。」


「顔〔ツラ〕」


「体〔スタイル〕」


「性格〔キャラ〕」


マダオはキャサリンに吐き捨てる。


「そういうことだから、とりあえずお前は、故国に帰れ。」


「しばくぞ。」


「問題は二人だ。
まァ、ツラはイイとして、スタイルだ。

これは、ヒロインたるからには、ボン!キュッ!ボン!
出るトコ出て、締まるトコは締まった、エロい身体がイイ。

それでだ、二人を見比べたところ。
ボン・キュッ…。」


「ボォォォォォォン!!」


お妙はマダオを戸まで殴り飛ばす。


「……………二人とも、合格。

最後は…あの…あれ…性格…だっけ?あの…。
でも、二人とも完璧だから…勝負つかないな〜コレ。」


「決着つけるアルァー、コルァ。」


「あなた達が、言い出したことでしょメガネバッズーカー。」


「しっ…新八君…。
起きて新八君、性格は君が提案したんだから、君が審査して。」


「んー…………ヒロイン?
ヒロインは…お通ちゃん。
お通ちゃんが、いいれす。」


恐ろしい効果音の後、銀時と新八が店の前に倒れる。


「土手来い。
決着つけるぞアル。」


「上等よニンニン。」


お妙とさっちゃんの後ろ姿を見て、新八は呟く。


「ぎっ…銀さん。」


「なーに。」


「ホント、僕らの周りには…。
なんで、ロクな女の人が一人しか、いないんですかね。」


「そーだな。」


「やっぱり…なんやかんやで。
神楽ちゃんが、一番僕らにあってましたよね。」


「………そーだな。」


お登勢が店の前に出てくる。


「なんだィ、アンタら。情けない。
帰れって言っておいて。もう、さびしくなったのかィ。」


お登勢は煙草を吹かした。


「……フン。
これだから、男ってのは勝手でいやなんだ。

ねェ、なんか言っておやりよ。」


「ボンキュッボンでなくて、悪かったアルな。」


そこにいたのは、間違いなく神楽だった。


「おっ…。」


「あーあー、もう言うな。何も言うな。

お前らに、あわせられるのなんて、私だけネ。
ヒロインも、愛の相手も、定春の世話係も私アル。」


銀時と新八は目を合わせ、笑い合う。


「マスコットの間違いだろ。」


神楽は寝てる愛の横に、ハンカチを置く。


「愛、ありがとうネ。」


『……おか…り、かぐ…。』


それを聞いて、神楽は顔を綻ばせた。


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