空色スパイラル2

□夢幻教編
2ページ/7ページ



新八宅にて、銀時と愛神楽は鍋をいじる。
そんな中、新八は外を見ている。



「遅いな〜、姉上。
今日は、せっかくお金入ったから、鍋つくったのに。」



「客とアフターでもきめこんでんじゃねーの?
こっちの方はできたぜ。」



新八が見ると、鍋は悲惨なことになっていた。



「ちょっと…。
何、入れたんスか。コレ?
魔女がグルグルかき回してる、謎の液体みたいになってるじゃないスか。」



「とりあえず、冷蔵庫にあるもの一通り入れたな。
鍋は色々入れた方が、うまいからな。」



『隠し味にチョコも入れたんすよ。』



「どーだ、神楽?」



「銀ちゃんの足の裏みたいな味するヨ。」



「オイオイ、最悪じゃねーか。
兵器だよ、ソレ。」



「自分の足の裏でしょーが!
どーすんですか、もう。」



「清潔にするよう、心がけるよ。」



「オメーの足じゃねーよ!
鍋だよ鍋!」



その時、タイミング悪く玄関で音がする。



「ただいまァ。」



「ヤバイ…。
帰ってきた。姉上、帰ってきた。」



「この状況を打破できる、具材は残ってねーのか?

そうだ!俺の足を入れてみるか?
同じ臭いがぶつかり合えば、相殺されるかもしれん。」



もう一度、鍋に目を移すと神楽が何かを入れている。



「!
神楽ちゃん、ちょっと。
それ、何いれてんの!?」



「ハーゲンダッツだヨ。
姐御、ハーゲンダッツ大好きだって言ってたから。
きっと喜んでくれるネ。」



『流石、神楽!』



「流石じゃないよ。
神楽ちゃん、それはね。
好きなモノをドブに捨てているようなものだよ。」



新八はコタツを持ち上げる。



「片づけよう。
こんなの、ない方がいい!ない方がいいよ!」



「やーめーろーや、あきらめるな。
あきらめたら、そこで試合終了ネ。」



『そうっすよ!
まだいける、私達なら。』



「試合は中止だから、体育館にウンコばらまかれてたから!」



すると、台所から声がする。



「新ちゃーん。
冷蔵庫に入れてたハーゲンダッツ、しらない?」



「ヤベー、奴め。
ハーゲンダッツに早くも気づきやがったよ。
おたまは、どこいった?」



「無理、無理。
もう溶けてますよ!」



銀時は手を鍋に突っ込む。



「あつァつァつァつァ。
あ゙ッつァ。」



銀時が手を鍋から抜いた拍子に、鍋の中身が入ってきたお妙の顔にヒットする。



『あはははは。』



愛は渇いた笑みを浮かべることしか出来なかった。








愛と神楽は、お妙とその友人の花子とコタツに潜る。



「ごめんなさいね。
ハーゲンダッツで花子ちゃんにも、元気出してもらおうと思ったんだけど…。」



「私、散々止めたネ。
全く、しょーがない奴等アル。」



『違うよね…神楽。』



「まァ、鍋もいいんじゃない。
花子ちゃんも食べてくださいな。」



「……………。」



花子は俯く。



「アラ、お鍋は嫌い?
花子ちゃんは確か大阪出身よね。
お好み焼きとかの方が、よかったかしら。」



「オーサカ?出稼ぎアルか?
私もアル、仲間ネ。」



『この歳で出稼ぎなんて、エライっすね。
尊敬するよ。』



「花子ちゃん?」



花子は涙を流す。



「アカン、ごめん。
江戸に来てから、人の優しさに触れたことなんて、あんまなかったもんやから。

アンタみたいな人も、おったんやな。
こんな近くに…。」



「花子ちゃん…。」



『大丈夫?我慢しなくても、泣いて良いんすよ。』



「オーサカ、どーしたァァ!!
元気出せヨ、オメー。

飲め!コレ、飲め!負けんなァ!!
都会に負けんなァ!」



「花子ちゃん。
よかったら、私に話をきかせてくれない?」



「人間、あんなことする時って、視界が狭まっているものだわ。」



「でも、他人に話したり。
案外、簡単なことで気持ちなんて、変わるものでしょ?

それに、私にもできることがあれば、力になるし。
私達、同じ店で働く仲間じゃないの。」



「…お妙ちゃん。」



花子は決意して言う。



「…ホンマに?
お妙ちゃん、ホンマに力になってくれるん?」



「ええ、私でよければ。」



「あの…それならな…。
言いづらいけど、おか…。」



「金は貸さねーぞ。」



ぴしゃりと言い放つお妙に圧され、さっきと違う意味で花子は涙を流す。



「………ハハ、まさか。
話…きいてくれる?」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ