空色スパイラル2

□第四十七訓 テレビとか新聞とか ちゃんと見ないとダメだって
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「愛、お前はここで待ってろ。
平和な明日を、俺が絶対に取り返してやる。」



愛を部屋の隅に座らせ、銀時と神楽はスリッパで攻撃を開始する。



「うらァァァァ!!」



「死ねェェ、コラァァ!!」


「てめっ、一人で大きくなったよーな顔、しやがってよォォ!!
誰が、ここまで育ててやったと思ってんだァァ!?」


ゴキブリは地に伏せた。



「新八は?」



一息ついた銀時は、神楽に聞く。



「見当たらないヨ。
銀ちゃん…。
新八、まさかコイツに。」



『しっ…新八、食べられちゃったの?』



「バカ言っちゃイカンよ。
たかだか、デカイだけのゴキブリに…。」



その時、ゴキブリが泡を拭いた。
その中には、新八の眼鏡が混じっている。



「新八ィィィィ!!」



「出せェェェェェ!!
てめっ、出せコラァァ!!」



銀時と神楽の怒涛の攻撃がゴキブリを襲う。



「何味だった!?
新八は何味だったコルァ!!
コーンポタージュか!
それとも、めんたい味なのかァ!!」



「銀ちゃん、定春もいないヨ。
キノコの回以来、見てないヨ!」



「何味だった、コルァ!!
たこやき味か!
それとも、サラミ味なのかァ!!」



すると、ゴキブリが奇声を発する。



「オヤオヤ、泣いちゃったよ。
この、ぼっちゃん。」



「泣いてすむならなァ、ポリスはいらねーんだ。
バカヤロー。」



「兄貴ィ。
マジ、こいつ。どーしてやりましょーか。」



「とりあえず、事務所こい…。」



銀時達の横、玄関から大きな音がする。
そこには、大量のゴキブリがいる。



『いやぁぁぁぁぁっ!!』



大号泣の愛と放心状態の神楽を抱え、押し入れに逃げ込む。



「だー、こっち来るなってーの。
一体、どーなってんだ?
ゴキブリの逆襲かよ。
こんなことなら、もっとゴキブリな優しくしときゃよかったな、オイ。

オイ、神楽。
お前、寝てる場合じゃ…。」



「エヘヘ。
ゴキブリが三匹、ゴキブリが四匹、ゴキブリが五匹。」



「神楽ちゃァァァん!?
ダメだよ、そんなもん数えながら寝たら!
ネバネバの部屋に閉じ込められる夢見るよ!!

オイ、しっかりしろ。」



その時、銀時は壁に一匹のゴキブリを見つける。



「………。
なんだ、コレ。なんで、五郎?
…妙なもんだな、いつもは見ただけで鳥肌モンだが。
こんな状況じゃァな。」



愛が銀時の袖を掴む。



『銀時…。
恐い…行っちゃダメ……。』



それを聞いて、気分を良くした銀時は言った。



「運がいいぜ、お前。
蜘蛛の糸ならぬ、ゴキブリの糸だ。

きっちり、恩返ししてくれよな。」



銀時が五郎を捨てたと同時に、玄関から大きな音がする。



「ぬおおおおお、銀サァァァン!愛サァァァン!!
新八、ただいま戻りましたァァ!!」



「お前、生きてたのか!!」



『新八ぃ…。よかった。』



「何?僕がゴキブリ如きに、やられるわけないでしょ。
協力な殺虫剤、買ってきたんスよ。ホラッ!」



新八は銀時に殺虫剤を投げ渡す。



「さっそく、ツキがまわってきやがった。
イイ事はするもんだねェ。」



「そんなことより。
外、エライ事になってますよ。
街中、酢昆布ゴキブリがウジャウジャで、もう大騒ぎ。」



「やべーな、俺らのせいだってバレたら、打ち首だぜ。」



「なんか、変な噂まで流れてましたよ。
こいつらが、宇宙から地球をのっとるために、やってきた【人喰いゴキブリ】だとか。

背中に五郎って書かれた、女王ゴキブリを殺さないと、地球は滅ぶとか。
もう、勝手に話が大きくなっちゃってて。」



一瞬にして、二人が静まる。



「…新八君、もっかい言って。」



「いや、だから背中に五郎って書かれたゴキブリを殺さないと、地球が滅ぶんだって。
もう、笑っちゃいますよね。
アッハハハハ。」



「アッハッハッ、ホント…。
笑っちゃうな。

俺、地球を滅ぼした魔王になっちゃったよ。
アッハッハッ〜。
もう笑うしかねーや。」



「アッハッハッ、え?
え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙!!」



焦る新八に対し、銀時は完全に戦意喪失している。



「見たんか!五郎さん見たんか!
ここにいたんかァァ!!」



「アッハッハッー。
逃がしちゃったよ、俺。
地球滅ぼしちゃったよ、俺。」



「どどどどど、どこぉぉぉぉ!?
早く見つけないと…。」



「無理無理、もうどっか行っちゃったって。
それより、ステーキ食いに行こう。
死ぬ前にステーキが食いたい。」



銀時は愛と神楽を抱える。



「今日は好きなだけ、食べていいぞォ。
どうせ、みんな死ぬんだから。
ヒッヒッヒッ。
俺が、みんな殺したようなもんさ。
ヒッヒッヒッ〜、殺せよ〜。」



「ゴキブリが102匹、ゴキブリが103匹。」



『GーGーGー、その名はG子



「ちょっとォォ!!
銀さん、しっかりしてくださいよォ!!
銀さん!!」



結局、ゴキブリは何者かによって、消滅した。
それが、出番がない間中、ずっとコタツに潜っていた、一匹の犬のおかげとは、誰も知らない。



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