空色スパイラル2

□第四十七訓 テレビとか新聞とか ちゃんと見ないとダメだって
1ページ/2ページ



「ぎゃああああ、助けてェェェェ!!
ヘルス!ヘルスミー!!」



『ど…どうしたの、神楽?

………っ!!どりゃおあああ!!
ヘコンドルミー!!』



閑かな休日、平和な朝。
そんな日に、似つかわしくない叫び声がこだまする。

洗面所で髭を剃っていた銀時の元に、愛と神楽は抱きつく。



「ヘルプミーな…どした。」



「ゴッゴッ、ゴキブリぃぃ!!
私っ…私の部屋!!」



『あわあわ!G子が…G子が。』



愛に至っては半狂乱になっている。



「愛がゴキブリ嫌いなのは知ってたが…。

何だ、神楽。
お前、宇宙最強のくせに、ゴキブリだめなの?」



「ダメ!油ギッシュ!!
シェイプ!シェイプアップ乱!!」



『ヘコンドルミー!ヘコンディアルミー!!』



「ヘルプミーな。」



銀時はスプレー片手に神楽の部屋、もとい押し入れに近づく。



「お前なァ、江戸で生きてくって事は、ゴキブリと共に生きていく事と同じだぜ。
見とけ、江戸っ子の生き様を。」



銀時が押し入れを開くと、中の物体に目を見開く。



「うおおおおおお!!」



それと同時に、新八がやって来た。



「おはよーございまーす。
…どしたんですか?」



「ゴッ…ゴキブリ!
ものっそい、ゴキブリ。」


「パルプ!パルプフィクション。」



『フリンスファン!フリンスファン!!』



「ヘルプミーな。」



「ハァ?ゴキブリ?
何を今さら…江戸で生きてくって事はねェ。
ゴキブリと同じ部活に入るよーなもんですよ。

見といてくださいよ、江戸っ子の心意気。」



「オイ、志村。後ろ。」



振り向いた新八の目に飛び込んで来たのは、自分の身長ほどあるゴキブリだった。



「ぎゃっふァァァァ!!
ヘッ…ヘルペス!ヘルペスミー!!」



「ヘルプミーな。」



とりあえず、4人は部屋を出て、作戦を立てる。



「なんスか、アレ。
なんであんなんいるんスか?」



「あれ、ホントにゴキブリアルか。」



「しらねーよ。」



銀時は震える愛の頭を撫でる。



「しらねーよって、アンタの家でしょ。
アレはねェ、アンタがつくりだした化け物だ。」



「君のだらしない生活が、あんな悲しいモンスターを生み出してしまったんだヨ。
銀時君。」



『銀時のバカ〜。』



「てめーらも、住んでるよーなもんだろーが!!」



銀時は懐からあるものを取り出す。



「こいつァ、仮説だが。
俺ァ、恐らくコレが関係してると思う。」



「あ、私の酢昆布。
…食べられてる。」



「恐らく、酢昆布を食することによって。
奴らの中で何か予測できない超反応が起こり、あんなことに。」



「マジでか!!」



「ヤバイよ。
あんなモン誕生させた上、もしアレが街に逃げたら、僕ら袋叩きですよ。」



「そうなる前に、俺達で駆除する。
なんとしても、この家から出すな。」



新八は、ふと疑問を口にする。



「愛さんって、ゴキブリだめなんですか?」



「昔ちょっとな…。」



『ちっちゃい時に、銀時達を追っかけて、急いで家を出ようとしたんすよ。
そしたら…。』



愛はブルッと震える。



『裸足で靴に足を入れたら、変な…触角が当たる感覚がして、そしたら…。
フトルックルー!』



「大丈夫だから、落ち着けって。
あと、ヘルスミーな…もう原型留めてねーよ。」



銀時は新八に訊ねる。



「新八、殺虫剤どうした?
恐らく効かねーだろうが、ないよりはマシだろう。」



「あっ、あっち置いてきちゃった。」



「お前、勘弁しろよ〜。
お前はホント、新八だな。」



「だから、お前はいつまでたっても新八なんだよ。」



『新八のバカ〜!』



「なんだァァ!!
新八という存在そのものを全否定か!!
許さん!許さんぞ!

とってきてやるよ、コノヤロー!
巨大ゴキブリが、なんだチキショー!!
てめーのケツくらい、てめーでふくよ!
血が出るまで、ふき続けてやるよ!」



そして、新八は部屋を出ていった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ