空色スパイラル2

□第四十六訓 美味いものほど当たると恐い
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お登勢がカニを大量に持って来た。



「オイオイオイオイ。
どーしたんだ、コレ?
竜宮城にでも、いってきたのか。バーさん。
顔もシワだらけじゃねーか。」



「殺すぞ、若白髪。
こいつァ、知り合いにもらったんだよ。
冷凍庫ぶっ壊れて、全部いたんじまってね。
ちょっとアンタらも、捨てるの手伝っておくれよ。」



銀時はカニを持ち上げながら言う。


「できることなら、食べるの手伝いたかったぜ。
勿体ねーな。」



「ちょっと、アンタ。
間違っても食べようなんて、考えんじゃないよ。
カニは、アンタ。
あたると、ひどいからね。」



「いい加減にしてくださいよ。
いくら僕らだってねェ、腐ったものにまで、手ェ出しませんよ。」



「カニは腐ると食えねーがな、侍は腐っても侍なんだよ。」



「なめんなよ、ババー。」



「ハイハイ。
じゃ、頼んだよ。

愛も気をつけなよ。」



『は〜い。』



しかし、数時間後。
お登勢の前には救急車があり、四人が担架で運ばれる様子が広がっていた。








「なーにが、食べ物は腐る一歩手前が一番うまいだよ!
完全に腐ってたじゃねーかァ!!」



「なんでも、人のせいにしてんじゃねェ!!
男は十六過ぎたら、自分の胃袋に責任もてバーカ!」



『二人ともストーップ!!』



「看護婦サーン、おかわりィィ!!」



入ってきた同室の患者は、マダオだった。



「へェー。じゃあ皆さん、長谷川さんのお友達なんだ。
フフ。よかったね、長谷川さん。
これで入院生活も、さびしくないじゃない。」



「止めてくれ、内野さん。
コイツらとは、ただの腐れ縁。」



「ちょいとちょいと。
今腐れだとか、そいゆう言葉に敏感だから、やめて。
ホント。

しかし、アンタもつくづくツイてねーな。
謎のオッさんに襲われたって?
この管理社会においてさァ、謎のオッさんに遭遇すること自体、希有だぜ。」



『とりあえず、御愁傷様です。』


銀時と愛はバナナを食べる。



「ねェ、なんで人の見舞いの品。
あたり前のように、食べてんの?」



銀時の後ろにいる神楽と新八も、当たり前の様に食べていた。



「長谷川さん見てたら。
食中毒如きで苦しんでいた自分が、バカらしく思えてきましたよ。」



「アリガトネ、バナナのオッさん。」



「いや、バナナのオッさんじゃなくて、オッさんのバナナだから、それは。」



内野さんも容赦なく食べる。



「食中毒になった直後に、もの食べれるなんて、元気な人達ね。
長谷川さんも、負けてられないわよ。
いっぱい食べて、元気モリモリにならなくちゃ。」



「なんで、元気モリモリの人が食べてんですか?」



「じゃあ。私、仕事に戻るけど、みんな仲良くね。
いたた。」


内野さんは壁に頭をぶつけつつ、部屋を出ていった。



「…銀サン、やっぱりナースっていいですね。」



「例えばさァ、7点の娘がいるとするだろ?
だが、ナース服を着ることによって、これが10点になる。」



「マジすか。
じゃあ、私がナースになったら大変アルヨ。
一体、何点アルカ。」



「「3点。」」



「コルァ、どーゆー事だ。
ゼロからの出発か?逆境からの出発か?コルァ。」



『私は?』



「「200点満点。
ミニスカなら、なお良し。」」



マダオは内野さんが出ていった方を眺めていた。








銀時と愛、マダオはロビーにいる。



「どーも、おかしい。」



「あ?」



「内野さんのことだ。
元から、ちょっとドジなところはあったんだが。
最近は何かボーっとしててな。
人のバナナを食べたりとか、そうゆうことをする娘じゃないんだ、ホントは。」



「なんだァ。
まだバナナのこと、ひきずってんのか。
チンパンジーの生まれ変わりか、お前は。コノヤロー。」



『あれはしょうがないっすよ。
空気が空気だったもん。』



「バナナのことじゃねーよ!!
なんか調子でも悪いのかと、心配なの!」



『あ!!』



「ん?噂をすれば。」



一つの病室の前に内野はいた。



「何やってんだ、アレ?」



「顔、まっ赤にしちゃって、どーしたんだ?

病室、のぞいてるみてーだが。」



『覗き?』



「ははーん。」



銀時は目を光らせる。



「長谷川さん。
こいつァ、病は病でも別の病らしいぜ。」



「オイオイ、まさか。
見ろよ、ジーさんだらけじゃねーか。
恋患いなんて、ありえんよ。」



「ファザコンだよ、ファザコン。
しわだらけの玉袋見てたら、死んだ親父の顔、思い出したんだよ。」



「なんで玉袋!?顔でいいじゃん!!
お前、玉袋って言いたかっただけだろ!!」



『??』



中を見渡すと、どこかでみた物体がいる。



「……ん?うおっ!!
なっ、なんだありゃ!?
なんか変なのいる。」



「あれ?ありゃ、確か…。」



『エリーだ。』



そして、その横に座っていたのは。



「ヅラぁぁ!!」



その声で内野さんは振り向く。



「「げっ。」」
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