空色スパイラル2

□第四十五訓 いい事は連続して起こらないくせに 悪い事は連続して起こるもんだ
1ページ/2ページ



『ぎ…銀時。』



河川敷の木の下に愛と銀時はいる。



『あの…私、私ね。
その……銀時のことが…。』



言葉の続きに胸を膨らませていると、どこからともなく高笑いが聞こえてきた。



「ハッハッハッハッ。
待たせたな、愛。」



『あっ、こーちゃん。』



振り向くと桂がいて、愛は銀時を追い越し、桂の胸にダイブする。



『私、これから桂 愛になるの。』



「フハハハハ。
銀時、うらやましいだろ?」



『こーちゃん、行こっか。
じゃーねー、銀時。』



「ハッハッハッハッ。」



二人はバカップルぶりを披露して、銀時の前から去って行く。



「…オイ、待てよ。
いや、高杉なら分からなくもない、顔が良いから。
マヨも分かる、金があるから。
いや、マジ分かりたくもないけど。

いや、真面目に。
うん。なんでヅラなんだ、よりによって。
いや、絶対俺に武があるだろ、オイ。」



銀時は薄く笑うと叫んだ。



「なんで、よりによってヅラなんだ〜!!」



気づくと、銀時は自分の部屋だった。



「ゆ…夢かぁ。
死ぬかと思った、色んな意味で。」



銀時が安心して、二度寝に入ろうとした時。



『銀時!ちょっと付き合って!!』



愛が部屋に飛び込んでくる。



『銀時、聞いてる?』



今朝の夢と目の前の愛がフラッシュバックする。



「愛。」



『なに?』



「ヅラだけは止めとけよ。」



『何が?

まぁ、いいや。
とりあえず、買い物に付き合って!』



そう言って、愛は銀時に服を押し付け、部屋を出ていく。



「小さい頃なら、俺達が着替え終わるまで、ずっとくっついてたのにな。
色々、俺達も成長したよな。」



『銀時、まだっすか?』



「オウ、今行く。」



二人は万事屋を出たのだった。








「よぉ、お二人さん。」



トラックの運転手が手を振る。



『あ、長谷川さん。
仕事みつかったんすね。
おめでとうっす!』



「これでクビになった仕事の数が増えるな。
おめでとう。」



「オイ、銀さん。酷いじゃねーか。」



マダオは信号が変わったのをきっかけに、じゃあなと去って行った。

今度は、愛が前方を見て、目を光らせる。



「なんだ、愛。
どうかしたか?」



『エリー。』



「は?」



『エリー!!』



叫ぶと50メートル先ぐらいにいる、白い物体に飛び付いた。



『エリー、今日も可愛いね。
大好き



「え、エリザベス。」



この時、銀時がエリザベスを羨ましく思ったのを、愛は気づいていないだろう。



『エリーは買い物?』



“桂さんと一緒に。”



それを聞いた(見た)銀時は、青筋を浮かべる。



「ヅラ…。」



『小太郎は?』



“迷子”



「そっか、じゃあ行くか。
またな。」



『ちょっ…銀時!?』



銀時はすかさず愛の腕を引き、その場を去る。



「(遠い所…遠い所。
なんとか、奴らの来そうにない所。)
そうだ、ちょっと遠出しねーか。」



銀時はそう提案する。



『じゃあ、ちょっと遠いスーパーにでも行く?』



「じゃあ、すぐに原チャリ回してくるから。」



銀時は嬉しそうにスキップして行く。
それを見て、愛が若干引いてたのを知らずに。



「愛!!」



声が聞こえ振り返ると、そこにはお妙と神楽がいた。



『二人ともお出かけっすか?』



「そうよ。もしかして、愛も?
なら、一緒に行かない?」



『ありがたいんだけど…。』



「おーい、愛!」



銀時が原チャリに乗って来た。



「げっ、何でお前ら。」



「愛、来るアル。」



「何されるか分かったもんじゃないわ。」



『まっ…待って、二人とも。
今日、誘ったのは私なの…だから。』



それを聞くと、お妙と神楽は銀時を一睨みし、愛に優しく声をかける。



「なら、しょうがないわね。」



「何かあったら、すぐに呼ぶアルよ。
私が駆け付けて、フルボッコにするネ。」



「じゃあね。

銀さん、後で潰しますから。」



「容赦しないアルヨ。」



凍えつくような声で耳元に言われた銀時は、冷や汗を流す。



『大丈夫っすか?』



「早く乗れっ!行くぞ!!」



愛にヘルメットを被し、銀時はゴーグルを額に当てる。



「捕まってろよ。」



そして、道路を何気なく走っていると、黒塗りの車が。
中に乗っている人物を見ようと、愛が後部座席を見ると…。



『さっちゃん!?』



「ん、アレ?お前。」



「カッコいい銀さんに可愛い愛が…。
ど…どストライク。」



原チャリが車を抜かすと、背後で大きな爆発がした。



「うおっ。」



『きゃっ!!』



「…え、何?
俺のハナクソか?俺のハナクソが!?
とりあえず、行くぞ。」



『えっ…うん。』



原チャリは町の中心部へ進んで行った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ