空色スパイラル2

□第八十一訓 扇風機つけっぱなしで寝ちゃうと お腹こわしちゃうから気をつけて
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「…だから。
俺、扇風機買いにきただけなんですけどォォ!!」


銀時と愛を乗せた原チャは、扇風機に向かい走る。


「おかしいぃぃ!!
絶対おかしい!!
扇風機買うためにきたんだよ、俺らは!」


『当初の目的は、そうすっね。
なんで、こんなことになったんだろう…。』


「おい、オッさん!!
なにをどうしたら、こうなるんだ!!
なんだ、これは言ってみろ!」


「え?いや、知らないけど。」


「俺も知るかァァァ!!
ボケェェェ!!」


すると、前方から黒塗りの車が、飛び出してくる。


「そこまでだァ!!止まれェ!」


『「うるさぁいぃぃ〔うっせェェェェ〕!!」』


「ここまできたら、もう引きさがれるかァ!!」


『何がなんでも、扇風機っす!!』


『「扇風機は私〔俺〕らのもんだァァァ!!」』


二人は原チャから飛び降り、飛び出してきた車は爆発する。


「なっ、何ィィィィ!!
何者だ、奴はァァ!!
地球防衛軍に、あをな化け物が!?

追ェェェ、逃がすなァ!!
なんとしても、【せんぷうき】を手に入れるんだァ!!」






「わたァァァァァ!!」


銀時が倉庫のドアを蹴破り、二人は中に入る。


「扇風機〜。
扇風機はどこだ〜。

なんだ、ここ?
ガラクタばっかりじゃねーか。」


『銀時、見て!
これ、可愛い!』


「なんだ!
このバカでけェ、招き猫。
気味ワリーな。」


『えー、持って帰りたい。』


「んなもん、家に置けるか!」


銀時は招き猫の手に力を入れる。
すると、口から小判が出てきた。


「こいつぁ、小判か?」


「フッフッフッ、驚いたかね。
天才からくり技師、十得がつくりあげた、【人造 金貨製造機三號】。
…つまり、偽金をつくり出すための機械…。
それこそが、【銭封機】。

ククク。わざわざ、ここまで案内御苦労だったな。
金に目がくらんで、後を付けられていたことにも、気づかなんだか。」


オッサンは、リサイクルショップのお姉さんに、腕についたサイコガンを突きつける。


「【銭封機】を、こちらに渡してもらおう。
同志の命が惜しくばな。」


「私にかまわないでェ!
早く、それを壊して!!」


しかし、銀時と愛の熱は急激に冷める。


「まわる方の奴は?」


『涼しくなる方の奴は?』


「………はい?」


「いや、だーから。
これじゃなくて、あのブーンってまわる方の奴は……。

どこにあるって、聞いてんのォォォ!!」


銀時は、招き猫の腕を破壊する。


『スイッチ入れたら、涼しい風が吹くのは…。
どこにあるんすかァァ!!』


愛は、招き猫の首を木刀で斬る。


「ギャアアアア!!
お前、何してくれてんのォォ!?
【銭封機】が…それが一体、どれだけ価値のあるものか…。」


『価値?
涼しくならない物に、価値なんて無いっすよ。』


「まぎらわしい名前、つけやがって。
てめーら、ジャロに電話するぞ。コノヤロー。

こんな汗だくになって…必死になって…。
原チャリまで、オジャンにしてよう。
こんなもん…。
やっぱ、エアコンにしときゃ、よかったよ。
これからの時代、エアコンだよ。」


『アナログからディジタル。
レトロからニュータイプだよね…これからの時代は。

最初から、エアコン買えば良かっ…。』


『「あっ、金ない〔ねー〕んだった。」』


銀時が招き猫の背中を蹴る。


「あ゙あ゙あ゙あ゙。
【銭封機】がァァ!!
ひろえ!ひろえ!」


「ひろえって、これ…。」


オッサンとショッカーもどき達は、招き猫の下敷きになる。


「待ちなよ!」


倉庫を出ようとした二人を、お姉さんは呼び止める。


「あの…ありがとう。
あんたら…江戸を救った英雄だよ。

あの…お礼を…。
たいしたもんはないけど。
ウチにあるものなら、なんでも…エアコンもあるよ。」


「…エアコンなんて、いらねーよ。
だからよォ、最初から言ってるだろ。俺らは…。」






「ハイ。ということでな。
血のにじむような思いで、手に入れた扇風機なワケ。
これは。

見ろ、このまばゆいばかりの光沢を。」


「なんか、うす汚くないでしか。
それ?」


新八と神楽の反応は、残念ながら薄い。


「それはお前の目が、うす汚れてるからだ。新八君。」


『中古品だからね…。
でも、心が綺麗な人間には、新品のような美しさに映ると信じてる。』


「いいかい。
今度は壊さないように、大事に使うんだよ。」


「いや、壊したのアンタじゃないですか。」


銀時がスイッチを入れるが、まったく羽は回らない。


「あれ。
あれ、おかしーな。つかねーぞ。」


「てめェェェ。
さては、それ拾ってきたなァァ!!

愛さん巻き込んで、大げさな作り話までしやがって!
なにが、地球防衛軍だ。
話が長ーんだよ!」


「ウソツキ。この大ウソツキめ。
持ってった金、何に使ったアルか!
パチンコか!?」


「いだだ。
ちょっ、待って!!」


『今回は、ホントに…。』


「大丈夫です、愛さん。
この天パは、二度とバカ出来ないよう、こらしめますんで!」


「愛は黙って見てるネ。」


「いや、ホントなんだって!
俺ら、悪の組織やっつけたんだって!!
俺、ホント地球を救ったんだって!!」


第八十一訓 扇風機つけっぱなしで寝ちゃうと お腹こわしちゃうから気を付けて
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