空色スパイラル2

□夢幻教編
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夢幻教の総本山に乗り込んだ、万事屋一行と花子にお妙。
目の前にいる、ホクロから長い毛を垂らしてるのが、創始者の斗夢だろう。



「みなさ〜ん、夢見てますかァ!!」



《見まくってまーす!!》



「夢にむかって、走り続けてますかァ!!」



《走りまくってまーす!!》



下を見ると、たくさんの信者が叫んでいた。



『(……これだけの人を騙してるんすね。)』



斗夢は壇上で、下にいる信者に語りかける。



「ハイ、みなさん。
今日も夢一杯・元気一杯で、私も嬉しいです。
その調子で夢を追いかければ、明日あたり掴めんじゃないかな、うん。

えーと、今日はね。
ダンサー志望の花子ちゃんが、新しい夢追い人をつれてきてくれました。
みんなに紹介します。」



斗夢は六人に問いかける。



「ハイ!
みなさ〜ん、夢見てますかァァァ!!」



「見まくってまーす!」



「志村妙さん。
アナタの夢は、なんですか?」



「父の道場を、復興させることです。」



「花子ちゃん。
君の夢は言わずとしれたァ?」



「インチキ宗教団体から、金をとりもど…。」



言い終わる前に、銀時が叩いて止める。

神楽がマイクに手をかける。



「私の夢はァ。
ご飯一膳に【ごはんですよ】全部まるまるかけて、食べることです。

でもォ、夢は叶うとさびしいから、ずっと胸にしまっておこうと思います。」



「ハイ、そーですか。」



斗夢は新八を見る。



「君は…。
眼がよくなりたいとか、そんなんだろ、どうせ。
いいや。」



「オイ、ちゃんときけやァァァ!!」



斗夢は愛を見る。



「愛さん、だったよね。
君の夢は?」



『私っすか。
そーだな、チョコの国の王になる。』



「可愛らしい夢でいいね。」



銀時に視線が移る。



「君の夢は?」



「夢?
そんなもん、遠い昔に落っことしてきちまったぜ。」



「お前、何しに来たんだァァァ!!」



「んなこと言われても、ねーもんはねーんだって。」



「なんか、サラサラヘアーになりたいとか。
そんなんでいいんじゃないスか。」



「じゃ、サラサラヘアーで。」



「帰れェェ!!」



斗夢は不信感を持つ。



「……君達、ロクな夢も持たずに、ここへ入信してくるとは。
どーいうつもりだ。
ホントに信者か?」



「そいつァ、これから決める。
なんでもアンタ。
夢を叶える神通力が使えるらしいじゃねーか。
そいつを、この眼で一度おがんでみたくてなァ。」



新八は小声で言う。



「銀さん!!
ちょっと目的、忘れてんじゃないスか。」



「まァ、待てよ。
金とり返す前に、コイツの化けの皮はがすのも一興だろ?」



下からは罵声が飛ぶ。



「なんだァァァ、お前らァァ!!」



「斗夢様を愚弄する奴は、許さんぞォ!!」



斗夢は笑みを浮かべた。



「ククク、面白い。
私の力が見たいと。

ここは、夢を叶えることのできる理想郷。
ここで修練をつめば。
君達も私のように夢を叶える力を、得ることができることを教えてあげよう。」


斗夢は構える。



「ドッーリーム、キャッチャアー!!」



「…………。」



しかし、何も起こらない。



「何やってんの?」



「君…ものっそいサラサラヘアーになりたいって、いってたよね?
頭をごらんよ。」



第四十八訓 すねに傷がある奴ほどよくしゃべる
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