にまんだっ

□ずっと…
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ほぼ闇丸独談













いちに彼女が出来たらしい


まあ、当然か


俺に似て綺麗だし(双子なんだから当然と言っちゃあ当然か)
頭もいい、母親気質で気も利く
顔は同じなのに性格も俺とほぼ正反対
荒っぽい性格の俺と違って、穏やかで優しくて…

身内の俺でも思うくらいだ、誰だってそう思うだろう


だから、いちはモテる


いつかは、こうなるだろうと思っていた


女子が少しばかり苦手で、いつも俺と手を繋いで
二人で一緒にいないと死んでしまうんじゃないかと思うくらいに
いつもどこにでも一緒にいたのに


いちは嬉しそうな顔で俺にあれこれと彼女の話しをする

いち笑顔を見れることは嬉しい

いちの幸せは俺の幸せ




なのに、何故だろう

胸が凄く苦しくなる

必死に笑顔を作ってみても、錘が胸の内にのしかかって、
どんどんと食い込んでいくみたいなんだ


…なんで、いちの笑顔を見ても、俺は嬉しくないんだろう…





考えなくたって、本当は自分でも分かってる

この胸の苦しさ、錘の理由


俺はいちが好きだ
その気持ちは昔からずっと変わらない

兄弟であること、男同士であることを飛び越えた感情


愛しくて、仕方ない




俺達はずっと一緒に生きてきた
いちの事なら、なんでも知ってる
いち自身が知らないような事でも、俺は知ってる
誰よりもいちの事想ってるのは俺なのに


なんで他の奴を選ぶんだよ、いち…

俺以外にいちを、幸せにできる奴なんていないのにさ…










ある日、いちが彼女と別れた


学校から帰るなり俺に泣きついてきた

学校は同じだけど、俺は部活をしてないから早く帰ってる

いつもだったら、部活での話しとか
彼女の話しとかを、にこにこと笑みを浮かべながら語りだすのに


俺に抱きついたままずっと泣いている

彼女の方から別れ話を切り出されたらしい



いちをフるなんて、泣かせるなんて

きっとロクな女じゃなかったんだろう

どうせ表面的にしかいちを見ていなかったんだろう

別れて正解だ、と心の中で汚く笑う



「いち、俺なら絶対にお前を泣かせない
ずっと、ずっと、傍にいる」


だから俺を選んで…



いちは笑う



「ありがとう…」



涙を流しながらの笑顔
すっごく綺麗で


指を絡めて、お互い縋り付くように抱き合って

恋人しかなし得ない
深い深い愛の確認




俺達はもう離れられない


ずっと、ずっと、一緒だから…











END








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