にまんだっ

□浮気厳禁
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「…………」


「…………」



二人の間に流れる険悪なムード

息が詰まりそうな重苦しい空気

明らかに錯覚ではないどす黒い色をしたオーラ



見るからにケンカである



「風丸の裏切り者…」


「だから、そんな事してないって言ってるだろうが!」


「俺はこの目で見た!絶対浮気してた!」


「人の話し聞けよこの早とちり!」




事の発端は今日の学校での出来事


いつものように部活に向かうため
円堂は風丸のクラスを訪れた

しかし、いつも待ってくれているその姿は無く

キョロキョロと周りを見渡してみると


廊下の奥の方から風丸が歩いてきた

……女子生徒と一緒に


親しそうに会話を交わしながら歩く姿はさながら恋人のよう

しかも女子生徒は少し頬を赤らめていて
明らかに風丸の事を意識しているようだった


その光景を見た周りの生徒達は
もしかしてあの二人は付き合っているのではないか、などと話し始め

それを聞いた円堂は腹からせり上がってくるような黒いモヤモヤしたモノを感じた



その後、部活帰りに円堂は無言で風丸の腕を引っ張り
自宅へと連れ込んだ


何なんだという風丸の問いかけにも応じず
ただ強引に引きずるだけの態度に
とうとう風丸は腹を立てて腕を握るその手を振り解いた


そこから浮気をしたしてないの言い争いから冒頭に至るわけで…




「じゃあ何であんな風に仲良さそうに女子と二人で歩いてたんだよ!」


「だからあれは…「言い訳すんのか!?」だから人の話し聞けって言ってんだろ!!」


今までで一番大きな声で怒鳴ると
風丸は徐に床に転がっていた鞄を拾い肩にかけた


「もういい!そんなに俺が信用出来ないならもう別れてやる!一生話しかけるな!!」



怒りが頂点に達した風丸はそのまま部屋を後にしようとした

だが、




「っ!?うわ!」



いきなり強い力で肩を掴まれ
そのまま思い切り後ろに引き倒された

ベッドに背中を打ち付け、軽く咳き込んでしまう



「……何勝手に別れるとか言ってんの…?」


上から降り注ぐ
いつもより明らかにトーンの低い声に
ビクリと肩が跳ねる



「…話しまだ終わってないじゃん…」


「そ、それは円堂が…痛っ!」



負けじと言い返そうとした風丸であったが
直後首筋に走った痛みに言葉が遮られてしまう



「な、に…して…っ」


「…お仕置き」


「ひゃ!?」



円堂は再び風丸の白い首筋に噛みつき
赤い痕を残す

必死に抵抗するも
現役キーパーである円堂の腕力に勝てる筈も無く
直ぐに押さえつけられてしまう



「うあっ!や、め…やだぁ!」



噛みついたり、吸い付いたりと
円堂は風丸の身体の至るところに痕を付けていき、

仕舞いには下腹部に手を伸ばし風丸の自身を布越しに強く刺激した



「ひああっ!…ぅ」



一つ高い声が上がり

それは次第に啜り泣く声に変わっていく


その声にハッと我に返った円堂は
ポロポロと涙を流す風丸を見て慌てて身体を起こした



「か、か風丸!?わわっどうしよう…な、泣かないでくれよ風丸ぅ!」


「だって、っだって…え、どぉが…ヒック…話し、聞い、てくれない…から…ぁ…」


「分かった!ちゃんと聞く!聞くから泣き止んで!なっ?」



まさか泣き出すとまで思っていなかった円堂は
嗚咽混じりに説明する風丸の話しをやっと冷静に聞き入れた


あの女子生徒は日直当番で、大量にあったクラスの宿題のプリントやノートを運ぶ手伝いをしていた事


自分のただの早とちりだと、この時やっと気づいた円堂は
これでもかと言うほど風丸に謝った

なんとか落ち着いた風丸も、別れるは言い過ぎだったと涙を拭いながら謝った



「ホント、ごめんな…」


「ん、…でもさ」


「うん?」


「円堂がこんなに必死になってくれて…なんか嬉しかったかな」


えへへ、と可愛らしい照れ笑いを浮かべる風丸に
たまらず円堂は勢い良く抱き付いた











(そう言えば…この痕どうしてくれるんだよ)


(アハハ、学校公認になれるな!)


(馬鹿!!)







END








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