..Y another story..
□女じゃなくても
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石川淳一、 十六歳。
至って普通な名前に、至って普通な容姿。
そんな至って普通な俺が、普通でない学校に転校することになったのは一週間程前のことだった。
親父が勤めている会社が新しく新店舗を出店するとかで、課長代理でもある親父が急遽そこへ駆り出されることになった。
まあ所謂人事異動というやつだ。
課長代理といっても、所詮は片田舎にある小さな会社だ。今回も初の試みとあってか、些か不安を抱いていた部分も多いのだろう。
親父はその偵察役といったところだろうか。
そんな田舎からやってきた俺が、この盟王学園という名前からして都会的な進学校に果たして馴染めるのだろうか。
――いや、馴染める筈がない。
授業には辛うじてついていけるだろう。
普通な俺だけど、進学校に転校出来るだけの頭は一応持ち合わせている。
しかし人間関係はどうだ?
人見知りのする俺が、うまくやっていけるのか。
しかしそんな心に抱えた一抹の不安も、転校初日にしてあっさりと打ち消されたのだった。
クラスの皆は優しく、明るかった。
お陰で俺も、直ぐにクラスに馴染むことが出来た。
友達も出来た。名前は翔。
少し口は悪いが、快活で気のいい奴だ。
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