Novella
□こわい
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夜は眠るためにある。
明日を生きるために、夜に眠り朝を望む。
しかし朝は望まずとも青空を引き連れやってくる。夜もまた月を運ぶ。
どんなに望もうとも、それを止めることはできない。
生きて死ぬ命と同等だろう。
これもまた、そのようなモノなのだろうか。
俺は眠ると夢を見る。
夢は誰でも一度は見る。幸せなものから、凄惨なもの、果てには未来をみたり、過去をみたりする。統一性のないものばかりを夢は見せる。
俺の見る夢は、未来や現在を見せる。
予知夢や既視感のあるものを見たりすることもあるだろうがそれはとてもあやふやでふわふわしている。
俺の見る夢は、現実そのものだ。
未来を知ること、過去を知ること
こんなにも見えること。
俺はもう狂ってしまいたい。
見たくないものまで見てしまう。
知りたくないことを知ってしまう。
闇に葬ることも許されない。
いや、闇に葬ることをせず背負うことこそがこの俺の業なのだろう。
闇の王として生まれながら光を浴び、その温かさを知っている。
そしてその光を追いかけている。
マフィアでありながら、またあの日々に戻りたいとどこかで願っている。
受け継いだ闇の大きさを自覚しながら、許されないものを許されたいとワガママを願っていることの業。
全てのマフィアの頂点である、そのボスは夢に怯えている。
夢を見るから、眠りたくない。
眠らないから…夢を見ない。
そんな逃避をしている。
なんと弱き王であろうか。
そう内心苦笑しながら、玉座に偉そうに踏ん反り返って不敵に嗤うのだ。
それが今の沢田綱吉だ。