Novella

□戯言
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俺は沢田綱吉、性別は男。
年齢27歳のごく普通の青年。

フリーターである。
この年齢で?とかはいらない。
俺はこの生活で満足しているし、両親は海外に仲良く住んでいる。
ときたま母親から連絡がくるが、元気でやっていると伝える程度だ。

気が向くままに仕事して、早寝早起きをし、朝焼けの空を見上げて毎日を謳歌する。
面倒くさいことなどないのだ。
全てがたのしい日々だ。

金が無くとも、図書館で本を読めば1日で沢山の世界がみえる。
つまらないことなんてない。
充実した平凡な日々がとてもいとおしく、美しく、このままでいたい。


なのに周りが騒ぎたてるのだ。
友人は皆、有名企業に勤めていたり
スポーツ選手として名をあげていたりするのもあるが、俺がこういう生活をしていることに不満らしい。


俺は痩せ型で、男にしては華奢で
母親譲りの童顔で大人に見られないこともしばしばある。
だから向いてはいないと何度も断るがのだが

「綱吉さん!今日こそは戻って頂きますよ!」

銀髪の青年、友人であり、元部下の獄寺隼人は今日も今日とて玄関に正座している。
上等なスーツをカッチリと着込んだ彼は同性から見ても憧れるしかっこいい。
そんな彼は自分の容姿を全く気にすることなく、小さいアパートの俺の玄関先で正座…悪目立ちもいいところだ。

「隼人…あ」

昔のクセで不意に名前を呼んでしまった。それが彼の中でどんな方向へ向かうかわかったものではない。急いで呼び直すが
しかし気づいたときにはもう遅かった。

「ご、獄寺さん、…」

「隼人と隼人と呼んでください!またそう呼んで、俺に命令を!」

「誤解されるような言い方しないでもらえませんか!あと声が大きい…」

涙ぐんで喜ぶ彼を部屋に引っ張り上げて、いまだに泣いている彼と向き合った。普段の不機嫌そうな表情が嘘のようだ。大の大人が名前呼ばれただけで泣くだろうか。

有名企業に勤めている友人である彼、
獄寺隼人はかなりの陶酔癖がある。
なんで俺が陶酔されているかは、置いておく。
とりあえずの問題は目の前の彼をどう追い返すかなのだから。
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