サモン小説

□昔の話.今のボク達
3ページ/6ページ




「‥‥‥‥。」


「…てオイ。
なぁにシケた面してんだよ」




しょぼん、と肩を落としてしまったプラティの頭を豪快に撫でてやるが、いつもの反応はない。


そのかわり、ゆっくりと顔をこちらに向けて、蒼く澄んだ瞳でラショウを見つめてきた。




その目がとても綺麗だとラショウは思った。





「鬼さんは、その女の人のことがすごく好きだったんだね…」




それなのに、とさらに俯いてしまうプラティ。



真面目なのが彼女の取り柄なのだが、あまり真剣に考えすぎてしまうのも困りものだ。




ラショウは小さく息を吐いた。




「…いいか、これはずっと大昔の話だ。
だから、今生きてるお前が眉間にしわ寄せる必要ねぇんだよ」


「うん…。

だけどなんか釈然としないよ…」



「だからよぉ…ι」





コイツは…ともう一度ため息をつき、今度は優しく頭を撫でてやる。


それが気持ち良いのかプラティは目を細めて嬉しそうに微笑んだ。



そんな彼女が堪らないほど愛おしくて、




ラショウはその小さな体を自分の腕の中へ閉じ込めてしまった。




突然の出来事に驚愕するプラティ。




「ら、ラショーっ?!」



と、顔を真っ赤に熱らせてジタバタもがいている。




相変わらずな反応にラショウは色気のねぇヤツ、と苦笑い。



そして一つ咳払いをして真面目な表情を作ると




「まぁ、なんだ。


昔と今は違うんだ。
それを俺達が証明してやりゃぁいいんじゃねぇのか?」






と、照れ臭そうに呟いたのだった。




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ