サモン小説

□sheded tears
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――夜。


サナレはいつもの場所にいた。



いつもとは違う
前屈みな姿勢で、


いつもとは違う
俯いた瞳で、


いつもとは違う
覇気のない声で、


いつものように訪ねた僕を出迎えた。


素直じゃないトコロはいつも通りだったけど。




"恐い夢でも見たの?"


"まさか。
子どもじゃあるまいし"


"あはは。
じゃぁ、僕は子どもかも"


"今さら気付いたの?"



他愛のない会話

他愛のない時間





ゆるゆると


温かな色に包まれて

サナレの表情は少しだけ

柔らかくなった。


でも

笑顔にはならなかった。





ねぇ、


どうしたら君を
笑顔にしてあげられるかな?


僕はサナレが苦しんでいる姿をずっと見てきた。



だから、思うんだ。


"もう苦しまなくていいよ"

"苦しむ必要はないんだよ"って…。



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