サモン小説

□sheded tears
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その時僕は、


サナレの強さを知った。




幼い頃に両親を亡くし、

ツライ思いをたくさんしてきたサナレ。



だけど



その瞳はいつも前を見据えていた。


自分の弱さを認め、
強くなろうと人一倍努力をしていた。



だから
キレイだ、と思った。

澄んだ瞳も

凛とした姿勢も

何者にも頼らない毅然とした態度も


すべて美しいと感じた。




同時に

とても儚く見えた。



苦しみを抱えこんで


痛みを我慢して


人知れず涙を流して


それでも

差し伸ばされた手に

顔を歪めて

拒み続ける君が

いつか崩れてしまいそうで――…。




"傍にいたい"


そう願った。




そんなサナレが
力を求めたという。


自分よりも強いモノを知り

自分は弱いと知って

自分が勝てないという恐怖を知る。

それがサナレにとってどんなに苦しいことだったのか

僕は気付けなかった。


それが
とても悔しかった。



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