BL小説!※ほぼナマモノ

□すれちがい
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明日で亮ちゃんと付き合って一年が経ちます。


まさか、付き合えるなんて思っていなくて。
年上で、同じグループになってからも俺からしてみたら憧れの先輩で、手が届く訳ないって思ってた。
だから…俺の気持ちを受け入れてくれた時は夢かと思った。
何もしなくても可愛い女の子や綺麗な女の人が寄ってきて選びたい放題にも関わらず、俺を選んでくれた。
それでも恋人同士になってからも亮ちゃんはあまり気持ちを口にしないから不安は拭えなかったけど。
そういう言葉は照れ臭くて言えないんだって分かってても、やっぱりたまには言ってほしかった。

ねぇ、ちゃんと俺のこと…好き?

いつも不安なんだ。
自分に自信が持てないから。
でも、何も言わないでいても隣にいてくれることに幸せを感じていたのも事実。
俺って欲張りなのかなぁ?






『世界でいちばん、君のこと』






「ね、亮ちゃん今日この後家行ってもいいよね?」

最近はお互い別の仕事ばかりだったのに記念日の今日はたまたま一緒の仕事。会うのも久しぶりだった。
だから当然のように亮ちゃんの家にお泊まりする気でいた。
なのに…

「あ、今日予定あるからあかんのや。すまんなぁ」

え。
…ちょっと待って。
今日俺たちの一年記念日だよ?
なのに俺よりも優先する予定なんか…あるんだ。

「そ、そっか…」

でもそんなこと言えない。
ワガママだって思われたくないし…
何よりこの様子じゃ亮ちゃん絶対忘れてるし…今日が記念日だってこと。

「んー今度埋め合わせするから堪忍してや」

ぽす、と頭を軽く撫でられ胸がキュンと疼く。
あーもう…惚れた弱みってこのことだよね。
体に触れただけで甘い幸せを感じてしまうから。

そうしているうちに本日の仕事は終わり、みんな楽屋から散り散りに出て行く。
亮ちゃんも足早に帰って行った。
この後の予定とやらがそんなに楽しみなのかなぁ。
俺はと言えば当然のように今日は亮ちゃんと過ごす気でいたからこの後の予定がない。
割と早く終わったのに真っ直ぐ帰宅するのも何だか切ないしなぁ…
荷物をカバンに詰めながらそんなことをぼんやりと考えていたら、山下君が近寄ってきた。
かけてたサングラスをカチャ、と目が見えるくらいまで外し俺を見る。

「この後暇なら飯いかね?」
「…行く!」

願ってもないお誘いだったから飛びつくように賛同した。
山下君はその綺麗な瞳を細めてにっこり笑う。

「今日車だから酒はナシね」
「うん、わかった」
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