春色の軌跡

□26 行動するか否か
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さっきまでは、ナルト達が再不斬に勝つのは絶望的だって思ってたけど、もう少し信用してみよう。
原作の流れに任せるから様子見、とかではなくて、ナルト達の行動に期待するから様子見、かな。
……でも結局は、自分はあまり原作に関与してはいけない・ナルト達の成長を阻害してはいけないから、主体的に行動しないほうがいい。っていう考えは抜けないけども……。

「ヤエちゃんとサクラちゃんは、そのままタズナのおっちゃんを頼む!サスケ!ちょっと耳貸せ。作戦がある」
「フン、あのお前がチームワークかよ……」
再不斬に聞こえないように、サスケの耳元で作戦を話すナルトと、それを大人しく聞くサスケ。
アカデミー時代なら、考えられない光景だなぁ…。昔ならナルトは1人で突っ走ってたし、サスケはナルトの言うことに耳を貸さないだろう。
春にアカデミーを卒業してから、チームメイトとして、数々の依頼を共にこなしてきた経験のおかげかな。

あと、小声の内緒話でも私には聞こえるのですが、めちゃくちゃ面白い作戦だね!

「さーて、暴れるぜぇ……」
「クク……えらい鼻息だが、勝算はあるのか」
作戦を立てている間、再不斬は手出しをせずに待っていてくれた。余裕から来る高みの見物だろうな。戦闘狂っぽいので、こんな青臭い子供達がどんな悪あがきをするのか楽しみなのかな。

「お前ら何やってる!逃げろって言ったろ!オレが捕まった時点でもう白黒ついてる。オレ達の任務はタズナさんを守ることだ!!それを忘れたのか?」
「おっちゃん……」
カカシさんからの言葉により、ナルトはタズナさんを気にした。ここで戦闘を繰り広げるということは、タズナさんに危害が及ぶ可能性が高くなるからね。
「なぁに……もとはといえば、わしが巻いた種。このごに及んで、超命が惜しいなどとは言わんぞ。すまなかったなお前ら……思う存分に闘ってくれ」
「フン……という訳だ」
タズナさんの言葉に、鼻を鳴らすサスケ。

「先生、安心していいですよ。私は守りに徹しますから。タズナさんには、傷一つつけさせないよ」
再不斬は2人に任せよう。私はタズナさんと、春野さんを守る。


「クッ……クックックックック……ほんっとに成長しねぇな!いつまでも忍者ゴッコかよ。オレぁよ……お前らくらいの年の頃にゃ、もうこの手を血で紅く染めてんだよ……」
「鬼人……再不斬!」
再不斬の自分語りに、苦虫を潰したような顔をするカカシさん。きじん???
……というか、なんの自慢にもならん話だな。そりゃ戦闘経験があるに越したことはないが、人を殺める経験が早ければ早いほど強いというものではないだろう。

「ほう……少しは聞いたことがあるようだな」
鬼人と呼ばれた再不斬はなんだか嬉しそうだ。
「その昔、"血霧の里"と呼ばれた霧隠れの里には、忍者になるための最大の難関があった」
「フン……あの卒業試験まで知ってるのか」
「……あの卒業試験?なんなんだってばよ」
「クックックッ、生徒同士の殺し合いだ。同じ釜の飯を食った仲間同士が2人1組になりやり合う……どちらの命尽きるまで。それまで助け合い、夢を語り合い、競い合った仲間だ」
「ひどい……」
再不斬の話に、春野さんは顔を青ざめて口の前に手を当てた。
仲間同士で殺し合いをさせるほど、人員に余裕があるんかねぇ。

「10年前……霧隠れの卒業試験が大変革を遂げざるをえなくなる点々その前年、変革のきっかけとなる悪鬼が現れたからだ……」
「変革……?その悪鬼が何したっていうの?」
「なんの躊躇もなく……ためらいもなく……まだ忍者の資格も得ていない幼い少年が、100人を超えるその年の受験者を食らい付くしたんだ……」
なんとも冷たい話だなぁ。
仲間の戦力は多い方がいいだろうに。そんなに人を殺して自分の力を誇示したかったのかな。
「楽しかったなぁ……あれは……」
いや、ただの快楽殺人者か。
気味の悪い笑みを浮かべたかと思えば、素早いスピードでサスケに近づき、思いっきり頭を殴った。
太刀を使わないところを見ると、いたぶる趣味でもあるのかねぇ。
今までの話も、気味の悪い薄ら笑いも、快楽殺人者と戦ったことのない3人にとっては、とても恐怖心を煽られるものだったろう。2人の表情が、体が、とても固い。

だけど、このあと、ナルトとサスケは再不斬に一矢報いることに成功する。
再不斬は我々を舐めすぎた。ナルトもサスケも春野さんも、ただカカシ先生に守られるばかりの非力な生徒ではない。

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