春色の軌跡

□24 任務を熟す日々
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火影に紹介された護衛任務とは、橋作りのタズナさんを波の国に送り届ける任務だった。
初めての他国への任務……これって、なんか強い忍者と戦ったり、美少年か美少女かが出てくるお話じゃなかったっけ??たしか……このお話が完結するあたりまで、漫画を読んだ気がする。

「出発ーーーっ!!」
一度も里の外に出たことがないらしいナルトは上機嫌だった。ま、私も火の国からは出たことがないんですけどね!!!
なにか特別な理由がないと出れないからなぁ。

「カカシ先生、波の国にも忍者っているの?」
忍者との遭遇を恐れているのか、春野さんは恐る恐る訪ねた。
「いや、波の国に忍者はいない。……が、大抵の他の国には、文化や風習こそ違うが隠れ里が存在し、忍者がいる。火の国、水の国、雷の国、風の国、土の国の五ヵ国は国土も大きく力も絶大なため、忍び五大国と呼ばれている。各国の里の長が"影"の名を語れるのもこの五大国だけだ。五影は全世界各国何万の忍者の頂点に君臨する忍者たちだ」
「へ〜!火影様ってすごいんだぁ!」
「……お前ら今火影様を疑ったろ」

ふーん。原作では他国の影と会う機会ってあるのかねぇ。私が生まれた年に4代目の火影が亡くなって、3代目が火影の座に就任しなおしてるけど、その間よく他国から攻められないなぁ。NARUTOの世界では老化しても、そんなに力は衰えないのかな?
他国の影達は、火影と比べたらもっと若かった気がする。これは原作の知識ではなくて、この世界に来てから得た知識ね。歴史書とか学校の授業とか。でも他国のことはそこまで詳しく調べることはできない。上忍になったら、機密情報とかも気軽に調べられるかなぁ。忍専用の図書館とかあればいいのになぁ。ありそうだなぁ。


「ま、安心しろ!Cランクの任務で忍者対決なんてしやしないよ」
「じゃあ外国の忍者と接触する心配はないんだぁ……」
「もちろんだよアハハハ!」

少し大きな声でテンションの高いカカシさん。これはカマかけてるなぁ。カカシさんの言葉に、タズナさんの表情が強張ってるもん。
サスケもタズナさんの様子に気づいたみたいだ。

さっきから、複数名に見張られてるもんなぁ〜〜……。上手に気配を隠しているので、大体の距離や方角しか掴めていないが、2〜3名が我々を取り囲むように木陰に潜んでいる。
天使の嗅覚&聴覚なめるなよ!天使の羽を出してなくても、五感の感度は自由自在に操れる。ただ、常時聴覚を研ぎ澄ませていると、それはそれであらゆる音が聞こえすぎてすごく疲れてしまうので、普段は常人レベルまで落としている。
今回は、危険そうな原作の流れに突入してしまったから、たまたま聴覚の感度をあげていた。

危険そうと言っても、原作通りの流れなら、波の国編が終わるまで味方側は誰も死なないはず。私は何もしなくても大丈夫だと思うが、戦闘が始まったら不自然じゃない程度に、みんなに合わせて動くか。

波の国編が終わったあとのNARUTOの物語って、全く知らないんだよなぁ。すぐ味方が死ぬような物語なのだろうか。少年誌だから、あんまり敵も味方も死なないような気がするが、楽観視はできないよなぁ。
ナルト達の主役3人はさすがに死ぬことないだろうけど、私がいることでなにか変わる可能性もあるよな……。足を引っ張らず、かといって出しゃばらずにいないと。
それにもし原作はあまり人が死なないタイプの物語だったとしても、原作に関係のないシーンで、ころっと自分が死にそうで怖いわ。
なるべく原作の邪魔したくない、つまり主人公たちと行動をともにしたくないと思っていたけど、主人公たちと一緒にいることが、一番安全な気もしてきた。

そうこう考えている間に、敵さん2名が接近してきて、鎖でカカシさんをぐるぐる巻きにした。
あれ、先生、わざと捕まってるよね?先生が対処すると思って、私は何も行動しなかったけどいいよね?
カカシ先生、「なに!?」とか言ってるけど、演技だよね?ナルトたちも騒いでて……。

「1匹目」
敵の言葉とともに、鎖が両側から引っ張られ……
「キャーーーーー!!!!!!!」
「カ……カカシ先生ぇ!!!」
バラバラになるカカシさんと、周囲に響く悲鳴。

え、いやいやいや……変わり身の術だよね!???ね!??……うん!カカシさんの気配が少し後方に移動したし、大丈夫なはず!!!!
いや、、、変わり身の術って怖っっ!!!!目の錯覚グロい!!!!これも一種の幻術だよね……。

「2匹目」
その言葉とともに、敵2人が今度はナルトに鎖を巻こうとした。すかさずサスケが上に飛んでから手裏剣を投げ、ナルトの上空に迫る鎖を、周囲にある木々へ飛ばした。続けてクナイを投げ、鎖ごと手裏剣をクナイで固定する。
そしてサスケは敵二人の上腕に着地し、そのまま蹴り飛ばした。

おお〜〜すごい。私は何もしなくても大丈夫そう。きっとこれも原作通りだよね。

木にくくりつけられた鎖を放棄した敵さんたちは、そのままタズナさんの方へ向かった。鋭利な爪の形をした武器ーー鉤爪を装備している。
「おじさんさがってぇ!!」
震えながらもクナイを持ちナズナさんの前へ立つ春野さん。敵の一人が爪でぶっ刺しに来ている。
それを見てサスケが、庇うように春野さんの前へ出た。

大人の腕力が発揮される鉤爪を、真っ向から手裏剣やクナイでふせげる……?さすがにこれは大怪我しそう!!原作通りの流れか知らないけど!!
私は、サスケに向かってきた敵さんを背後から蹴り飛ばしてサスケ達の安全を確保した後、抜刀して両腕を深めに斬り上げた。もうこれで腕に力を入れることはできまい。というか一生動かないかも。ごめん。
そして地面に伏した敵がもう動かないように、脅しのために首元に剣をあてがった。

ちなみにもう1人の敵は、タズナさんへ向かう途中で、棒立ち状態だったナルトに攻撃したあと、カカシさんに締め上げられていた。

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