春色の軌跡

□番外編 分家の従兄妹と
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「いたっ」
縁側に腰を掛けて本を読んでいると、突如背中に衝撃を浴びて、縁側から落ちてしまった。私の邪魔をする人は、いつも決まっている。

「あ、わりぃ、小さくて見えなかったわ!」
私を見て意地の悪そうに笑うのは、2つ年上の分家の男の子、木乃花ウツギである。私の母の、双子の妹の息子である。

「いえ、大丈夫ですよ。お気になさらず」
そう言って適当に彼をあしらい、再び縁側に腰を落ち着けて本を開く。えっと、どこまで読んだかな……。

また彼が何かを言っているようだが、基本的に取り合わないことにしている。かわいそう?2つ下の従兄妹に手を出すほうが悪い!まぁ精神年齢は私が上なんだけどね。取り合ってやる義理もない。
最初は年相応の反応をして適当に付き合ってたけど、毎度毎度のことなので、もう疲れてきた。
絡まれるのは面倒くさいのだが、家族以外で私を神子として扱わない親族は彼だけなので、とても貴重な存在ではあった。

ちなみに、前に私への態度が長老に見つかり、こっぴどく叱られたから、基本的に周りに人がいないときに攻撃してくる。

「まったく、さっきのも避けれないだなんて、神子ってのもたいしたことないんだな!」

……言い訳になるけど、戦闘時じゃない普段のリラックスしている時に、殺気のない攻撃を避けるのは難しいんだよ!
殺気のない、害のない、じゃれあいの攻撃は気づきにくいし、気づいたとしても、あまり避けようとも思わない。
まぁ、私がそれほどこの環境に気を許しているってことになるのかな。向こうも本気を出してぶつかってきたわけではないだろうけども。

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