春色の軌跡

□20 ついに卒業する
2ページ/4ページ


卒業試験の日。試験内容はとくに聞かされていなかったが、例年の傾向を聞くに、当日に何らかの忍術が指定されるらしい。

「卒業試験は分身の術にする。呼ばれた者は一人ずつ隣の教室に来ること」

あれ、そう言えば、ナルトってこの試験落ちるんだったっけ?そして、なんだっけ。何か一騒動起きて、結果的に合格になるんだっけ……?

イルカ先生の他、数名の先生に見守られての試験。合否はその場で発表された。
無事に私もヒナタも合格しました。シカマルやチョウジも。

「良くやったさすが俺の子だ!」
「卒業おめでとう!」
合格した受験生達と、学校の外に待機していた受験生の親達。
さっきまで一緒に合格を祝いあったヒナタやシカマル、チョウジも、今は両親と楽しそうに喋っている。

「いいなぁ……」
そう自然と自分から出てきた言葉に驚いた。

前世では、仲間も、両親の居ない人達ばかりだった。だから、家族のぬくもりとか、そういうのに触れる機会もあまりなかった。
この世界でも、両親のいない人なんていっぱいいるだろう。でも、アカデミーのこの学年は、戦争が終わった後に生まれた世代だ。だから、両親が生きている人が多い。

まさか、自分が家族を羨む日が来るとはなぁ……。
いくつになっても、他人の持ってるものは羨ましく感じてしまうものなのかねぇ。

「おい」
「……サスケ?」
珍しいな、サスケが話しかけてくるなんて。
うちはの事件直後は一切会話もなかったが、あれから5年も経ったんだ。全く話さないというわけではなく、ただのクラスメイトとして、ごくたまに話すようになった。昔みたいな仲の良い幼馴染ではないが。

「試験、どうだった」
「受かったよ。サスケも?」
「ああ」
「そっか、おめでと」
「…………」

な、なんだろう。急に話しかけては来たけど、黙りこくってしまった。特に話したいことがあるというわけでもないのかな……?
「あれ」
そう言えば入学式の時、サスケは父親のフガクさんと一緒に居て、今みたいに話しかけてくれた。
もしかして、あの時も今も、私がつまらなさそうにしてたから、声をかけてくれた……?
「ありがとう、サスケ」
こういう優しいところは、変わらないんだなぁ。
「……フン」
サスケだって、家族がいないのに。気を使わせるなんて、ダメだなぁ。

.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ