春色の軌跡

□15 日常、だよね?
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「アカデミーの様子はどうだ?」
「……平日の昼間にここにいるってことは、察しがついていると思いますが」
「はは。それもそうだな」
アカデミーにはあまり行っていない。勉強内容はつまらないし、小さな子ども達と紛れてうまくやるのも面倒くさい。
「ヤエがアカデミーに居ないと、サスケが寂しがる」
「イタチさんが忙しくされているほうが、サスケ君は寂しがっていますよ……。ところで、こんな昼間にどうしたんですか?いつも暗部のお仕事でお忙しそうですのに」
「今日はたまたま、シダレと休みが被ったのでな……」
「休みの日にも一緒に居るとか、相変わらず仲がいいですね」
「……羨ましいか?」
イタチさんの大きな手のひらが、私の頭を撫でる。
「別にそんなことは…………ないですよ」
兄からの愛情はなくとも、私にちゃんとした友達がいなくても。そういうものは前世で経験したし、私にはもう十分だ。今は何不自由なく快適に過ごしている。

突如、本殿から巨大なチャクラの気配がした。
「ヨシノのチャクラだ……」
本殿の外からでも認知できるほど膨れ上がったそれは、明らかに異常だった。
「行っておいで」
ヨシノの禍々しいチャクラに怖気づいてしまい、ついイタチさんを縋るような目で見てしまったが、
「宗家の者しか入れないのは知っているし、これより先は結界が張ってあるから、俺は進めない」
イタチさんはそう言って、私の背中を押してくれた。
そのおかげで私は走ることができた。
結界なんて貼ってあったのか……?相変わらず、術やチャクラの探知が苦手だ。察知されにくい作りになっているのだろうか。実のところ、私はまだ、一族の術を何も使うことができない。

それにしても、2人の間に何があったのだろう。そういえば、私は2人が会話をしているところに立ち会ったことは今まで1度もなかったな。

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