春色の軌跡

□15 日常、だよね?
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本殿の社の側で、剣術の練習をしていた。変化の術で前世の私に変身しているので、今はとても動きやすい。子供の私だと、この大きな剣を振り回すのは難しいからなぁ。
でも姿は変わっても、筋肉量は変化がない。まぁ前世の私も大した筋肉はなかったが……。しかし、前世も今世もエクスフィアによる身体能力の強化の恩恵を受けられているので、大変ありがたい。

兄から授かった父の形見であるこの刀は、チャクラ刀という種類に分類されるみたいだ。自身のチャクラをこの刀に宿すことができる。火や風に性質変化したチャクラでも可能だ。
私は自身のチャクラを持たないから、体外の自然エネルギーを火や風の性質に変化させて、この刀に付加することができる。
出来上がった火の刀や風の刀、雷の刀。前世で使用していた刀もマナを使って属性を持たせることができたから、なんだか懐かしい。前世の刀はそれプラス、形や大きさ、重さも変幻自在だったけど。
前世でも毎日の素振りは欠かさなかったので、兄にこの刀を授かってからは、前世と同じく素振りが日課となった。

「あれ、珍しいですね」
気配を隠すこともなく現れたのは、シダレさんとイタチさんだった。本殿にイタチさんが来るのは珍しい。演習場や家にならよく来るけど。

「ほう……修行しやすい姿に変化しているのか」
「……ヤエ、神さんと話があるから首飾りを貸してくれ」
「はーい、どうぞ」
首飾りを貸せって言われるのはたまにあるので、変化を解いてから何の疑問もなく貸した。変化を解いたのはあれだ、ちょっと休憩。
首飾りを受け取ったシダレさんは本殿の奥へと消えていった。首飾りがなければ、シダレさんはヨシノと会話できないから。
イタチさんはその場で待つようだ。ヨシノのいる奥の建物は宗家の者しか立ち入ることが許されていないので、そのことを知っているのだろうか。

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