春色の軌跡

□12 忍術って難しい
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「ふむ。言いたいことは分かった。首飾りを出すのじゃ」
常に首から下げて服の中に隠していた宝石を外し、ヨシノの前に持っていった。彼女は自身の腕をあげ、白い宝石部分に指を触れた。

「う、あ……」
その瞬間風が舞い上がり、私の袴の袖や裾が風を受けて大きく揺れた。目が眩む程の激しい光が広がったので、宝石を持っていない方の腕で光を遮りながらも、なんとか目を見開た。強く発せられた光は、白い宝石の周囲に留まり、徐々に凝縮されていく。ヨシノのチャクラだ。
彼女の細い指が宝石を離れ、光が完全に見えなくなっても、高濃度のチャクラは依然として石に吸い込まれたままだった。


「この石を肌につけておることで、石の中のチャクラがお主の体内に取り込まれ、変化や分身といった体内のチャクラを必要とする術が使えるであろう」
「本当!?」
「ああ。今すぐにでもやってみるとよかろう。一度に石にこめられる量は決まっておるのでな。石のチャクラが無くなれば、またいつでも補充してやろう」
「ありがとう!!」
やった!やっと私にも忍術が使えるようになる!今までは前世で使ってた魔術しか使用できなかった。体内にチャクラがない私だけど、ヨシノのおかげでなんとかなりそう。ヨシノは存在自体がチャクラだもんね!チャクラおばけ!
「これから私がじゃんじゃん石のチャクラを利用するとして、ヨシノのチャクラが枯渇することはないの?」
「それはないの。わらわは精神体で、チャクラの塊じゃ。チャクラがなくなるということは、わらわが消滅すると言うこと。そう簡単に消えはせぬ」
「ふーん……」
よくわかんない存在だなぁ。さすが神様?そもそもなんでヨシノが存在するのかとか、そういう話を聞こうとしてもいつもはぐらかされる。前世の経験上、世界の仕組みについて疑問を持つことは大切だと学んだ。ヨシノやシダレさんに教えてもらえなくても、自分でなんとかしなきゃなぁ。ま、主人公のナルト君のそばにいたら、いつか嫌でも知ることになるだろうけど。世界そのものや登場人物にも、きっと漫画らしい、陰鬱な過去とかがあるんだろうな。知りたい、けど、知ったらこの漫画のストーリーに巻き込まれそう。それは嫌だ。第二の人生ぐらい、平和に生きたい。でも、元の世界に戻るためには、色んな知識を集めなきゃ。NARUTOの世界に関わらなきゃいけない気がする。

ま、とりあえず、今日は、家でじっくり忍術の練習をしよーっと!

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