春色の軌跡

□12 忍術って難しい
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姉の写真を持ち、チャクラを練る。私にはチャクラを生み出す器官が多分存在しないから、息を吸って、吐いて、周りから取り込むイメージをする。――……今だ!変化!

「…………無理かぁ」
難しい。変化ってどうするの?チャクラを吸収するイメージと、変化したい対象(試しにお姉ちゃんにしてみた)のイメージの両立が難しい。
「チャクラを吸収……チャクラチャクラチャクラ……そして変化変化変化……」
もう!出来ない!前世に変身魔術があったら変化も楽勝に出来たのかなー。

「下手くそ」
「うおぁ!……あ、シダレさんおかえりなさい」
いつから居たんだ?居間じゃなくて自室で修業すればよかったかな。シダレさん全然家に居ないから居間が自室と化してるんだけどね。

「お前はチャクラの量が少なすぎる。つーか、チャクラが無い。そもそもチャクラっていうのは、精神エネルギーと身体エネルギーを使って練るものだ。お前にはその2つのエネルギーがない。そしてこの2つは、人の体内にしか存在しない。だから、外から取り込むのは不可能だ」
「はい……」
「それでもお前が自分の術を使えるのは、周囲の自然エネルギーをそのまま扱っているからだ」
「ふむふむ……」
「自然エネルギーを体内に取り込み、精神エネルギーと身体エネルギーの3つを織り交ぜると仙術チャクラができる。お前の場合は、自然エネルギーをそのまま利用して術を発動させている。そんな芸当、普通はできない」
へぇ〜。シダレさん私より私のことに詳しいな……。私が未だにチャクラの性質をよく分かっていないからだろうけど。

「変化や分身の術は、身体エネルギーと精神エネルギーで作った、体内のチャクラを必ず利用する」
「……つまり、体外に存在する自然エネルギーしか扱えない私には、変化も分身も使えないの?」
「ああ」
えええ!アカデミーの卒業試験って分身だったよね?あれ、変化だっけ?どっちにしろ卒業出来ない!

「……神さんの所に行け」
「え?」
「その首飾りがあれば、何とかなるだろ」
「それどういう意――、あ……」
言いたいことだけ言ってシダレさんは居間から出て行っちゃった。助言してくれたのは嬉しいんだけど、ちょっとさみしい。

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