春色の軌跡

□11 学校とサボり魔
1ページ/3ページ


六歳になり、アカデミーに入学した訳ですが。
「暇すぎる……」
座学の授業は暇すぎる。どの世界でも共通な数学や物理等は前世で結構勉強したからめちゃくちゃ簡単だ。その他の、この世界独自の授業も、今は低学年だから基礎だらけ。家にある本は結構読んだので、授業で得られるものは何もない。今度から家の本持って来て授業中に読もうかな。暇すぎる。

座学が暇だと言っても、実技は実技でそれもめんどくさい。戦闘経験を前世で積んだし、今世でも山の演習場で修練を積んだ甲斐もあって、同じ歳の子に体術や手裏剣術とかでは負けない。たまに姉や兄、イタチさんに指導してもらってたし。失礼だが、レベルが全然違うのだ。
クラスメイトに怪我をさせてしまわないよう、実技では程よく手を抜いているのが現状である。

優等生だって思われるのもなんだか面倒なので(先生の期待とか生徒のやっかみとか)、テストや実技はほどよく平均以上を取るよう心がけている。

まぁ、学校に通うこと自体は、日本に居た頃ぶりなので、教室の雰囲気を味わえることは、楽しいんだけど……。
私、友達居ない。

そもそもアカデミーだけじゃなくて、この世界に居ない……。ヨシノは向こうは友達って言ってくるけどなんか違うし。イタチさんは兄の友達だし、サスケ君はイタチさんの弟って感じだし。分家のウツギとも仲良くないし。

うん、サスケ君とはそれなりに仲が良いんだけど、でもサスケ君は男の子だし、女の子から好かれてるし、アカデミーではあまり喋らない。ていうか主要人物だからあんま喋りたくない。ナルト君も同様の理由で、まだあまり喋ってない。

だからなるべく女の子の話し相手がほしいなって思ったんだけど、入学式の日から女子グループがある程度できてました。乗り遅れた……!皆、もともとご近所さんで仲良しとかそんな感じなんですかね?山に住む一族にご近所さん居ない!分家しか!

「サクラちゃん、」
聞こえてきた声に反応して振り向けば、そこには女の子が二人居た。楽しげに喋っている。

「ああ、そっか」
多分あの子がヒロインだ。春野サクラちゃん、だったっけ。
「桜……ねぇ」
それは前世の私の名前だった。

転生してから初めて聞くその名前だけど、私がヤエになってもう六年も経つけど、未だにその名前に振り向いてしまった。呼ばれたのは私じゃないのに。

.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ