春色の軌跡

□11 学校とサボり魔
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友達と言うほどじゃないかもしれないけど、仲良くなった女の子が二人居る。

一人目は、日向ヒナタちゃん。ひゅうが、と読むらしいんだけど、
「……ひなたひなたちゃん?」
と、ノートに書かれた名前を見て私が声を掛けたのが最初だ。物凄く失礼なこと言っちゃってごめんよ。
内気で目がおっきくて可愛い子。でも目ん玉が白っぽくて最初はちょっと怖かった。
目が白いって、ちょっと変わったビジュアル。……もしかしたら、原作の主要キャラかもしれない。
でもヒナタちゃんはおとなしくて優しいので、一緒に居るのは疲れないし心休まる。何より可愛いから嬉しい。好きだ。私もヒナタちゃんも友達が居なくて、よく一緒に居る。


もう一人が、山中いのちゃん。私がよく行く花屋さんの娘。アカデミーで知り合う前は、店員とお客って感じの挨拶程度で会話はしなかったけど、ここで出会ってからは店先でも少し話すようになった。
社交的な女の子で、いつも誰かと一緒に居る。いのちゃん経由で何人かとも少しだけ親しくなった。


そして今日も私は、山中さんの花屋で花の苗を買い、墓地に……ではなく庭に行く。
私の母はガーデニングが趣味で、お姉ちゃんもそうだった。季節によって様々な花が咲くこの庭を、放置して枯らすなんて出来ない。あ、お姉ちゃんや母もガーデニングが趣味なんじゃなくて、同じ気持ちだったのかな。代々伝えてきた庭を守る的な……?まぁ木の剪定等は庭師を呼んでるけど。

で、庭を整えた後に、綺麗に咲いている花を見繕ってお墓に持って行くのが、私の日課になりつつあった。兄もよく行ってるみたいだから毎日ではない。墓地に行くか、ヨシノに会いに行くか、家で勉強するか、演習場で修業するか。学校が始まる前も、始まってからも、それは変わらない。私の日常。……たまに学校は休んでるけど。

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