春色の軌跡

□09 縮まらない距離
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昔は、お姉ちゃんや両親を、私に盗られたみたいでシダレさんは私に敵対心、嫉妬心を持っていた。それは、兄弟を持つ家庭なら、よくある光景だった。

でも今は、何だろう。

元々距離を置いていたのは私だった。家族を家族だと思わない。原作と関わりたくない思いで、イタチさんはもちろん、親族等のこの世界の人間もなるべく避けてきた。

だけど、もう、私はカスミさんをお姉ちゃんだと思ってる。お姉ちゃんと呼ぶのはまだ気恥ずかしいけど、私にとってはとてもとても大切な人だ。

そして、シダレさんも、もう兄だと慕っていい、慕いたいと思っている。まだお兄ちゃん!って感じじゃないけど、そう思えるように、歩み寄るべきだと思う。

でも肝心のシダレさんには、その気が無い。私を妹だと思っていない。

嫌われている訳じゃない。
でも、好かれているかと聞かれれば、そうでもないと思う。
だけど、私のことを大切には思ってくれて……いるんじゃないかな。お姉ちゃんとの約束とやらがあるから?


私は兄と、これから先どう向き合えばいいのか分からないや。
今まで遠ざけていた、私のせいだろうな。


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