春色の軌跡

□08 受け継がれる宝
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忍術書片手に、分身や変化の術を練習中。……出来ない!
やり方……体内のチャクラを練る?ってことは私は体外のチャクラを集めればいいから……。
……難しいぞ。
魔術を使う時、私は「火よ、集まれ集まれ〜」って感じで使う。チャクラよ集まれ集まれ〜って、火とは違ってチャクラって意識しにくい。
体よ変化しろ変化しろ〜って念じた方がいいのかも?
「変化変化変化……」
ううん……出来ない。

「お前、チャクラ練るの下手すぎ」
「…………」
「忍の才能無いんじゃねーの?変化も分身も基礎中の基礎だぞ」
……うるさいわっ!

夕方、任務を終えて帰って来たシダレさん。夕食を作るカスミさんがまだ帰って来てないからイライラしているのかと思いきや、違う。この前、イタチさんが中忍になったのに自分はまだだからイライラしてるだけなのだ。けっ、お前も忍の才能無いんじゃねーの!?と言い返せない私はチキン。

「変化の術は――、」
そこで不自然に言葉を切り、冷蔵庫の方をバッと勢いよく振り返ったシダレさん。どうしたのかな。お腹減ってついに頭がおかしくなったのかな。

「……おい、神社に行くぞ!」
「へ?」
「いいから!」
急に首根っこを掴まれて、外に引きずり出される。

人差し指と親指を口に加え、ピューっと音を出した。……でも、我が家の馬、シンメの反応は無かった。いつもは一声鳴いてから駆けて来るのに。

「ちっ、」
シダレさんの足よりシンメの方が速い。そんなに急いでどうしたんだろう。
「……コマイヌ!」
親指を歯で噛んで地面に付けたと思ったら……は!?
モクモクとした煙りと共に、白い毛並みの犬が現れた。
「え、何これ」
「いいから乗れ!コマイヌ、姉さんのところまで頼む」
「承知した」
「え!喋っ、うぎゃ!」
速い速い何これ!
落ちないように犬の毛にしがみつくので精一杯。風が顔に当たって痛い。

でも何よりも、気になるのは、この既視感。……物凄く、嫌な予感がする。

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