春色の軌跡

□06 主要人物と邂逅
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私の世界は狭い。公園で同年代と遊ぶことはなく、話すのはシダレさんとカスミさんと、木乃花ウツギっていうクソ生意気な2つ年上のガキだけだ。あとは分家の方に祈られた時に、ありがとうございます。って喋るくらい。
だから、そう。私はいつものようにいつものノリで喋ったんだけど。
兄と姉は慣れていただけで、やっぱり私は奇妙な人間に思われるようだ。いや、イタチさんは純粋に不思議に思っているだけで、嫌悪された感じじゃなかったけど。イタチさん良い人すぎる。

「イタチさん、こっちの大福も美味しいですよ」
「……本当だ。これは何処のだ?」
「えっとですね……これは確か……」
さっきの空気はどこへやら、今は大分打ち解けました。
「兄さん、これ、ちょーだい」
「お前ら朝から……太るぞ」
「サスケ、母さんには内緒な」
「うん!分かった!」
ふおおお!ちっちゃい子可愛い!!サスケってすかしたガキだな大人になったら絶対恥ずかしくなって黒歴史に思うよこれって漫画読んだ当時は思っててごめんなさい!可愛い!!え、同じ歳?関係ないさ!

「しかし本当に賢いな……。読み書きや計算ももう出来るのか?」
「多分……?」
この世界ではそのうちの読みしかしたことないけど。
「こいつは引き篭って本ばっか読んでるから」
「この調子なら、ヤエもすぐアカデミー卒業しそうだな」
「ああ……でもこいつらの代ではその制度無くなるんじゃないか?」
「……俺達が入学したのは、戦争が終わったすぐ後だったからな」
「まぁまだ忍不足だけど、ゆっくりやるんじゃねーの。今の火影はのんびりした人だし」
「はは、それもそうだな」
ふぅん……戦争なんてあったんだ。

「二人とも下忍なんですか?」
「ああ。こいつはアカデミー首席合格。どうせすぐ中忍にあがるよ」
「へぇ……イタチさんすごいんですね」
「写輪眼ももう開眼したんだろ?」
「ああ」
「写輪眼?」
ってなんだっけ。ナルト達三人の先生の目?
「写輪眼ってのは――……あれだ。自分で調べろ」
こいつ……めんどくさいからって説明放棄しただろ。
「とにかく優秀なうちは一族の中の天才中の天才な奴だよ」
あの兄がここまで人を褒めるって珍しい。気持ち悪い。

「いや、シダレもすごいさ」
「世辞はいらねーよ」
「だってお前は一度見たり聞いたりしたことは忘れないだろ?」
「ああ……でも印や技を覚えたって、使いこなせなきゃ意味ねぇよ」
「いや、そのこと自体一種の才能だよ」
へえ……シダレさんにそんな特技があったんだ。
「でも流石に赤子の時までは覚えてねーよ」
そこで私の方を見たシダレさん。え、確かに私は生まれた記憶ありますけど。あれかな。治癒術使った時のことお前覚えてんの?って聞きたいのかな。知らんぷりするけど。
私が覚えてるのは生まれた時から“私”のままだったから覚えているだけで、一字一句間違えずに覚えるとか、そんなことは無理だ。イタチさんの話を聞くに、シダレさんにはそんな才能があるんだろうな。
私ってこの人のこと全然知らないや。

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