春色の軌跡

□04 九尾事件の犠牲
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体が気怠いのは、久しぶりに魔術を使用したからなのか、それとも赤ちゃん特有の眠気から来ているのか。
目を覚ましたら喪服の人達が居て、お香の香りがして……お葬式の最中みたいだったけど、私を腕に抱いているのがカスミさんだと言うことが分かったから安心してまた眠りについた。
両親は既に死んでいたから駄目だったけど、姉は救えたようです。

知らない人の腕の中って、転生当初は正直気持ち悪くて嫌だった。前世は野宿も多かったから、睡眠時は魔物や知らない人の気配に常に敏感で気を張ってたし。だけど、もう、そんなことは無かった。
自力で移動することも出来ない今の私にとって、家族の傍に居ることはとても安心することだった。
その家族が、私にとっては仮そめのものであったとしても。

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