春色の軌跡

□02 我が家への不審
1ページ/3ページ


お宮参りってなんだっけ。
家族の食事や生活を見る限り、ここは日本文化にとても近い。日本そのままといっても良いかもしれない。武器が家のあちこちに無ければ、の話だけど。戦国時代かなとも考えたけど、チョンマゲに着物と言うスタイルじゃないから違うんじゃないかな。ん?戦国時代ってチョンマゲじゃなかったっけ?日本の歴史はもう忘れてしまったな……。

そう、話は戻るけど、私はお宮参り的なモノに来ている。
「神社に行きましょーねー」
って母親に当たる人物が言ったから。何故か私が袴のようなものでめかし込んでいるから。暑い。まぁそれは良いんだけど、この異様な光景は何だろう。

私は姉の膝の上に座っており(まだ座れないから寄り掛かる形で)、隣には兄が。そして目の前には、巫女装束を身に纏い、祈祷を捧げる母親……。神主だったんかい。通りでいつも赤と白の巫女っぽい服を着てた訳だ。姉や兄、父も普段から袴っぽい物を着ている。動きやすい軽装な袴みたいな?
私達の他に、おじさんおばさん、御年配の方々がいる。白い髪の人達は親戚で、他はその人達の嫁や婿や、信奉者だろう。

うとうととしている間に、どうやら儀式は終わったようだ。何の儀式かは分からん。
「巫女様、ヤエ様に祈りを捧げても宜しいでしょうか」
「どうぞ。この子も疲れているでしょうから、皆さんご一緒でもいいかしら?」
そんな会話が繰り広げられたと思ったら、一斉にぶつぶつと何かを唱えだす人達。ちょっと怖い。奇妙だ。でもこういう慣習なんだろうな。生まれた赤子に祈る。うん、よく分からん。ちなみに巫女と呼ばれたのは母だ。ああ、巫女の娘だから何か特殊なのだろうか。めんどくさいことにならなきゃいいけど、金持ちライフを送れるのだとしたらいいかもしれない。

ま、どうでもいいや。と思ってしまうのはこの人生を投げやりに考えているからじゃない。今はこの世界について知らない、何も行動に移せない赤ちゃんであるから、考えても仕方がないから。……投げやりな気持ちもちょっとはあるけど。

.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ