交響曲第1楽章

□12 侵入
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義勇軍と共に乗り込んだ牧場では、あまりディザイアンと遭遇せずに人々が収容されている場所へと辿り着いた。
「ショコラちゃん……は居ないね」
捕らえられてた人の話を聞くと、どうやら彼女だけ別の場所に移されたらしい。
ニールさん率いる軍の皆が、この人達をパルマコスタまで送り届けることになった。大勢の一般人を護衛しながら敵陣を歩くにはさらに大勢の兵が必要。だから私達は義勇軍の力を借りず、私達だけでショコラちゃんを探しに行くことに。


「ディザイアンは……どうして人間をあんなつらい姿にしちゃうのかな」
浮かない顔のコレット。
「見せしめの為とか、実験の失敗とか……?」
なんの実験かは分からないけど。
「どうしてと言うよりも、どうやっての方が私には気になるわ」
と、リフィルが。人間をあんな姿に変えるだなんて、一体どうやってるんだろ。総督の娘に化けてた人も、気味の悪い姿になってたし。変形させることそのものが目的なのかな?強い兵を作る、みたいな。
「……知らぬ方が良かった、そんな事実が隠れているかもしれないな」
確かに……。クラトスのその言葉は、いつか実現してしまいそうだ。でも、
「何事も知らずにいて後悔するよりは、どんなに悲しくても事実を知っている方がいいんじゃないかな……」
ま、それは悲惨な事実に直面したことのない甘い奴の考えかもしれないけど。でも、この世界についてもっと知りたいです。
「そっか……サクラは記憶喪失だもんね」
「コレット……」
いやそれは関係無い、かな。最近思い出が薄れているような気もするけど、記憶喪失と言うほどじゃない。




「ロイド!あれ!」
「待て!ショコラを放せ!」
しばらく探索していると、ディザイアンに引き連れられたショコラちゃんを見つけた。仕掛けが難しくてここまで来るの大変だった……。
彼女が人質に取られたりしないよう、すぐに周りに居たディザイアンを倒す。

「貴方達!助けに来てくれたの?」
「うん。怪我は無い?だいじょぶ?」
「ええ。大丈夫です。神子様、皆さん、本当にありがとう」
良かった……。一先ず安心!
「気を緩めるな。我々はまだマグニスを放置したままなのだからな」
う……。やっぱり大本を倒すのね。
「総督府のニールが、此処に収容されている人達を連れて脱出しています。私達は官制室を抑えて彼らを安全に脱出させないと」
「ドア様がいよいよ動き出したんですね!」
ぱぁっと目を見開いて喜びを露にするショコラちゃん。ドア総督と義勇軍がディザイアンと闘い、勝つことを夢見てた彼女にとっては大変嬉しいことなのだろう。

「あ、ああ……まあ……」
「官制室か分からないけど、この部屋の奥にはきらきら光る壁とか、魔法のようなものがたくさんありました。ご案内します」
ショコラちゃんは曖昧に返事をするロイドにも気付かず、私達の……ドア総督の助けになれるように案内を買って出た。
「そうね、少々危険かもしれないけど、お願いできて?」
「はい。こちらです!」

ニールさんとも話し合ったけど、ドア総督の本当のことは誰にも話さないことになった。さっき、何事も知った方が良い発言した私だけど、こういうことは教えたくないや。あれだよね、自分が癌になったら告知してほしいけど、家族が癌になったら本人には教えたくないってやつに似てる。この世界って癌あるのかな?あっても大した治療法は無さそう。
街の人には、ドア総督はディザイアンを討つ為に戦死した、とだけ伝える。それを美談に持っていく為に私達はなんとしてでも勝たなきゃいけない。もう二度とパルマコスタに被害が出ないよう、マグニスを打ちのめすんだ。

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