春色の軌跡

□26 行動するか否か
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ナルト達の作戦は実に素晴らしかった。
ナルトが多重影分身をして、分身達が一斉に再不斬に殴りかかった。その隙に、ナルト本体はコッソリと手裏剣に化け、分身のナルトがサスケに手裏剣(に化けたナルト)を渡した。

サスケは、カカシさんを閉じ込めている再不斬本体に手裏剣を投げた。再不斬は難なく手裏剣を交わしたが、再不斬の背後でナルトは変身を解き、再不斬にクナイを投げた。
予想外の出来事に対して、再不斬は避けるために、カカシさんを閉じ込めている水牢から手を離すしかなかった。

ナルトの投げたクナイは再不斬の頬を掠め、怒りに満ちた再不斬はナルトに反撃しようとするも、その手はカカシさんによって止められた。
――水牢の術が、解けた。

「成長したな……お前ら……」
そこからはカカシさんの圧勝だった。
再不斬は大規模な水遁の術を使用するも、カカシさんが再不斬の術を見極め、再不斬よりも早くに印を結び、術を発動させた。
写輪眼は、術を写し取ることができるのかな。

「なぜだ……お前には、未来が見えるのか……!?」
「ああ……お前は死ぬ」
水遁に吹き飛ばされた再不斬に、カカシさんはとどめを刺そうとしたが、それは別の者によって遮られた。

千本が再不斬の首に深く刺さる。
「フフ……本当だ。死んじゃった♪」

あれ、再不斬って、こんなに早く死んだっけ?
千本が飛んできた方向に目を遣ると、木の上に、仮面をつけた少年が佇んでいた。あ、この子、確か原作に出てきた子だよね……?
あれ?この二人、一緒に死ななかったっけ……?

カカシさんは、再不斬の首に指を触れ、脈が止まっていることを確認した。

「ありがとうございました。僕はずっと……確実に再不斬を殺す機会をうかがっていたものです」
少年はぺこりとお辞儀をした。
「確かその面……お前は霧隠れの追い忍だな……」
「さすが……よく知っていらっしゃる」
すごい。カカシさん、面でどこの里か分かるんだ。

「追い忍?」
「そう。僕は"抜け忍狩り"を任務とする、霧隠れの追い忍部隊の者です」
ナルトは、再不斬と少年を交互に見ていた。体には力が入り、興奮した様子で叫んだ。
「なんなんだってばよ!お前は!?」
「安心しろナルト。敵じゃないよ」
「んなこと聞いてんじゃねーの!俺ってば!あの再不斬が……あの再不斬が殺されたんだぞ!あんなにつえーやつが……!俺と変わんねぇあんなガキに、簡単に殺されちまったんだぞ!俺たちバカみてーじゃん!納得できるかぁ!」
怖くて震えているのではなく、悔しくて震えてるんだね。

「ま!信じられない気持ちも分かる。が、これも事実だ」
カカシさんは、ナルトにゆっくりと近づき、ナルトの頭の上に手を置いた。お、すごい先生っぽい。
「この世界にゃお前より年下で、俺より強いガキもいる」
ナルトが悔しそうに顔を歪めた。サスケも。

少年は、動かなくなった再不斬を背に乗せた。
「あなた方の戦いも、ひとまずここで終わりでしょう。僕はこの死体を処理しなければなりません。何かと秘密の多い死体なもので……」
あー、これ、たぶん再不斬は生きてるんだろう
な。再不斬を助けに来たんだろう。


「それじゃ失礼します」
そう言って、少年と再不斬は姿を消した。
近いうちに再戦するんだろうなぁ……。

どう立ち回れば良いかわからなかったけど、とりあえず、原作を壊すこともなく、ナルト達に悪い影響を与えることもなく、無事にそつなく行動できた……かなあ……。
あーー他者のこと何も考えずに生きていきたい。

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