あか×すな

□おかえり
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暁の任務で疲れきったサソリがアジトへ引き揚げてくると、散らかった部屋を片付けていたカンクロウが彼に気付いて出迎えた。


「おかえり、サソリ。今日は遅かったじゃん。」

「お…おぉ…なんかお前、新妻みてぇだな…こういうやり取り、やってみたかったんだ…!!」

「風呂沸いてんぜ。それとも先に飯にすっか?」

「んー…五十点。」

「はぁ!!?」

「愛しい旦那様が帰ってきたんだから、もっと言い様があるだろ。」

「言い様?どんな?あと愛しくねーよ。」

「見本としてはだな……おかえりなさいませ、旦那様。オレとお風呂入る?オレを食べる?それとも普通にえっちする?」

「ほぼ一択じゃねーか!!!」

「いいから早く言ってくれ!」

「言う訳ねーじゃん!!…で、風呂?飯?」

「お前。」

「いや、選択肢にねーから。風呂か飯な。」

「お前。」

「聞けよ!!風呂か飯かどっちか!二択!」

「お前。」

「あーもう!!ムカつく野郎じゃん!つかよく考えたらアンタ飯いらねーじゃん!風呂な!!」

「はは…しかしいいモンだな…帰る家に迎えてくれる奴がいるっつーのは…」


サソリがオッサン臭く幸せを噛みしめているのにもハイハイと呆れた様子で、カンクロウはサソリが引き摺って来た死体を担ぎ上げた。


「せっかく廊下磨いたのに汚すんじゃねーよ。コレ、いつもの場所でいいのか?」

「おう、頼んだぜ、ワイフ。」

「誰がワイフだクソボケ野郎。いいから早くその血塗れの装束脱げよ。」

「脱げ、か…玄関先で求めて来るなんてイケナイハニーだぜ…」

「ハニーとか呼ぶな!気色悪ィんだよ!!洗濯するから脱げって言ってんじゃんよ!」

「新婚だっつーのに手厳しいなぁお前は…倦怠期には早ェだろうが…」

「アンタと結婚した覚えはねぇよ!!!俺がココにいるのは我愛羅が心配だからじゃん!!いいから早く脱げ!!脱いだのは置いといていいから風呂入ってこい!!」

「お母さんかお前は。あ、ソレもなかなかいいかもな。オレのお袋は小せぇ頃に死んじまったし…そのせいかな、オレ…寂しくて…お前にはつい甘えちまう…」

「サソリ……もうその同情誘う手は通用しねーからな。早く風呂に行け。」

「…本当に厳しいなお前は…もう少し甘い雰囲気醸し出せねーのかよ…」

「出せるかそんなもん。」

「せっかく好きで一緒になったんだ…仲良くしようじゃねぇか…」

「だから、俺は我愛羅が心配だからココにいるんだよ!別にアンタが好きだからじゃないじゃん!!」

「ああ、ツンデレってヤツか?オレを喜ばせる為に勉強したのか?カワイイなぁお前…」

「酷いポジティブだな!!本当にアンタの事なんか好きじゃねーから!!寧ろ嫌いじゃん!!」

「き…嫌い…そうか…それは参ったな…嫌い…か…」

「さ…サソリ?あの、そんな、ごめん、そんなつもりじゃ…」

「クク…嫌ってるっつーんなら却って好都合…惚れさせ甲斐があるってもんだ…ああ、オレ、お前に溺れそう…!」

「底無しのポジティブだな!!底無し沼で溺れてこい!!!…はぁ…なんか疲れたじゃん…サソリ、ソレ脱いで、風呂入って。マジお願いじゃん。」

「はいはい、分かったって…なぁ、カンクロウ…背中流してくれねぇか?」

「背中ァ?バカ言うな。」

「それくらい、いいだろ?どうせお前はオレの事、何とも思ってねぇんだろうし、傀儡のメンテだと思えば…」

「……何とも思ってない訳ねーじゃん…」

「え…!?」

「いや、何でもねぇよ!風呂入って待ってろ!」

「あ…ああ、待ってるからな♪」


装束を脱ぎ捨てて意気揚々と風呂へ向かうサソリの背中に、聞こえないよう呟いた。


「…チョロいオッサンじゃん…最初からこうしときゃよかった…」


徐々にサソリの扱い方がうまくなっていくカンクロウだった。





終劇
 

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